遥かなる水の音

遥かなる水の音

遥かなる水の音

本日は、仙台文学館で開かれた「小説家・ライター講座」を受講してまいりました。


今月の講師は、1月に出した『W/F ダブル・ファンタジー』で柴田錬三郎章・中央公論文藝賞島清恋愛文学賞をトリプル受賞された、村山由佳先生でした。

W/F ダブル・ファンタジー

W/F ダブル・ファンタジー

村山先生がこの講座で講師を務められるのは、昨年の二月に続いて二回目です。山形でもいちど講師をされているので、ぼくが教わるのはもう三回目になりました。


星々の舟 - 男の魂に火をつけろ!


ダブル・ファンタジー - 男の魂に火をつけろ!
今回のテーマは「作家が脱皮するとき」。『ダブル・ファンタジー』で新境地を開かれた村山先生が、その思い切りについて語ってくれました。


三つの賞を受賞されたので、授賞式でのスピーチを三通り考えるのも大変だったそうですが、そこまで評価されたポイントは、作者の腹のくくり方だったのではないか、とのことです。


創作するうえで、夫や子、家族など親しい人に読まれたくないという意識のリミットをはずすこと。頭で書くのではなく、肉体からにじみ出るものを表現するという覚悟を決めること。そういう腹のくくり方を、選考員(渡辺淳一とか)が高く評価したということなんですね。


村山先生は、『ダブル・ファンタジー』を連載中にネットで自作の評判を検索して、以前からのファンがあれこれ批判しているのをあえて見ていたそうです。そうして自身の反発心を掻き立て、「問題作を書こうとしているのだから、賛否両論あるのは成功の証」だと考えていたそうですから、その覚悟は深いですね。


他にも、『ダブル・ファンタジー』でヒロインと関係を持つ男性のモデルについてのこととか、柴錬賞の受賞スピーチで「私を止めないでください」と言ったら北方謙三先生から「でもお前、俺が止めたときはよっぽどのことだと思えよ」と言われた
こととか、いいエピソードをいくつも聞かせていただきました。「よっぽどのこと」とは例えばなんですか、と問うと「例えば渡辺淳一さんトコ行くとか…」と北方先生は答えたとのこと。「それはありえない」と村山先生は思ったそうですけどね。



講座の後の懇親会では、直木賞の賞品の懐中時計を見せていただいたり(みんな手を合わせて拝んでいた)、同行していた村山先生のご主人から(この方とももう三回お会いしている)「キミは、アーティストになりたい人じゃなくて、ディスクジョッキーをやりたい人でしょ」と言われて、なんかすごく納得したりしました。



というわけで、来月の告知を。

仙台 小説家・ライター講座

薄闇シルエット (角川文庫)

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山形 小説家になろう講座

銀幕の東京―映画でよみがえる昭和 (中公新書)

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