さよなら、愛しい人

昨日に続いてエキサイト翻訳ネタです。今日は小説篇。


ミステリー関係では、『モルグ街の殺人』やシャーロック・ホームズ物語はちゃんと邦題になりましたが、ほかの作家はどうでしょうか。

アガサ・クリスティ

完璧です。

エラリー・クイーン

  • The Greek Coffin Mystery→ギリシアの棺のミステリー(『ギリシア棺の謎』)
  • The Egyptian Cross Mystery→エジプトの交差しているミステリー(『エジプト十字架の謎』)
  • The Siamese Twin Mystery→シャムの双子のミステリー(『シャム双生児の謎』)
  • Halfway House→ハーフウェーハウス(『途中の家』)
  • The Four of Hearts→4つの心臓(『ハートの4』)
  • The Dragon's Teeth→争いの種(『ドラゴンの歯』)
  • The Tragedy of X→『Xの悲劇』
  • The Tragedy of Y→『Yの悲劇』
  • The Tragedy of X→『Zの悲劇』

ドルリー・レーンものだけはちゃんと訳されましたが、これは固有名詞か直訳か判断しづらいところですね。

Xの悲劇 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

Xの悲劇 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ヴァン・ダイン

  • The Benson Murder Case→ベンソン殺人事件(『ベンスン殺人事件』)
  • The Canary Murder Case→『カナリア殺人事件』
  • The Greene Murder Case→グリーン殺人事件(『グリーン家殺人事件』)
  • The Bishop Murder Case→司教殺人事件(『僧正殺人事件』)
  • The Scarab Murder Case→スカラベ殺人事件(『カブト虫殺人事件』)
  • The Kennel Murder Case→『ケンネル殺人事件』

微妙だなぁ。そもそも全部『xxxxxx Murder Case』なので、邦題もほぼ直訳なんですよね。面白みがないといいますか。

ディクスン・カー

  • It Walks by Night→それは夜までに歩きます。(『夜歩く』)
  • The Mad Hatter Mystery→マッドハッターミステリー(『帽子収集狂事件』)
  • The Three Coffins→3個の棺(『三つの棺』)
  • The Plague Court Murders→疫病法廷殺人(『黒死荘殺人事件』もしくは『プレーグ・コートの殺人』)
  • The Red Widow Murders→赤い未亡人の殺人(『赤後家殺人事件』)
  • The Judas Window→『ユダの窓』
  • The Reader Is Warned→読者は注意されます。(『読者よ欺かるるなかれ』)
  • The Burning Court→燃えている法廷(『火刑法廷』)
  • The Emperor's Snuff-Box→皇帝の残りかす箱(『皇帝の嗅ぎ煙草入れ』)

ほぼ全滅です。せめて『火刑法廷』ぐらいは入れてほしかった。


本格ミステリは、クリスティぐらいしか入ってないようです。ではハードボイルドはどうか。

ダシール・ハメット

  • Red Harvest→『赤い収穫』(または『血の収穫』)
  • The Dain Curse→デイン呪い(『デイン家の呪』)
  • The Maltese Falcon→『マルタの鷹』
  • The Glass Key→ガラスキー(『ガラスの鍵』)

レイモンド・チャンドラー

  • The Big Sleep→三つ数えろ(『大いなる眠り』)
  • Farewell, My Lovely→『さらば愛しき女よ』(または『さよなら、愛しい人』)
  • The Little Sister→妹(『かわいい女』)
  • The Long Goodbye→『長いお別れ』
  • Trouble Is My Business→問題は私のビジネスです。(『事件屋稼業』)

映画版のタイトルが優先されるようですね。


この翻訳を作った人はとにかく映画タイトルを優先するのがポリシーのようで、スティーヴン・キングの『呪われた町』なんか『死霊伝説』になりました。

呪われた町(上) (集英社文庫)

呪われた町(上) (集英社文庫)

死霊伝説 セーラムズ・ロット [DVD]

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どう考えても、原作の知名度の方が高いと思うんですけどね。