汐のなごり

<昨日より続く>


明けて日曜日は、山形市で北重人先生の講座を受講。

汐のなごり

汐のなごり


北重人先生は、酒田市出身の時代小説家で、端整で官能的な文章が高く評価されています。


近作『汐のなごり』は、北前舟が着く港町だった酒田(作中では別の地名になっている)を舞台にした連作集で、情景描写が素晴らしく、嫋々たる風の音が聞こえるような情感がこもっています。


で、北先生が文章を書く上で気をつけている点を、いくつか教えていただきました。

  • 説明的にならないように
  • 文章にリズムを持たせるため、書いたものを音読してみる
  • 常套句は使わず、接続詞なども同じ単語の繰り返しを避ける
  • 身体感覚につながる書き方をする
  • 人物のデータが10個あるなら、全部いっぺんに出さず、3個でその人物をよりよく表すぐらいにする


そして、風景を描写するときは、単に主人公が見ているものを書くだけのものではなく、それで人物の内面を読者に伝えるものにしなければならない。


小説とは、なんにしろ人間を描くものであって、「人間とは」という問いを常に心にとどめておかなくてはならない、とのことでした。


いい文章を書く、というのは、このように厳しい態度でのぞむことなんですね。

ぼくはふだん、文章をおもちゃにして遊んでいるだけなので、プロの先生がこうしてシビアに文章を向き合う姿に接するのは、いつも反省させられます。