汐のなごり
<昨日より続く>
明けて日曜日は、山形市で北重人先生の講座を受講。
- 作者: 北重人
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2008/09/17
- メディア: ハードカバー
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北重人先生は、酒田市出身の時代小説家で、端整で官能的な文章が高く評価されています。
近作『汐のなごり』は、北前舟が着く港町だった酒田(作中では別の地名になっている)を舞台にした連作集で、情景描写が素晴らしく、嫋々たる風の音が聞こえるような情感がこもっています。
で、北先生が文章を書く上で気をつけている点を、いくつか教えていただきました。
- 説明的にならないように
- 文章にリズムを持たせるため、書いたものを音読してみる
- 常套句は使わず、接続詞なども同じ単語の繰り返しを避ける
- 身体感覚につながる書き方をする
- 人物のデータが10個あるなら、全部いっぺんに出さず、3個でその人物をよりよく表すぐらいにする
そして、風景を描写するときは、単に主人公が見ているものを書くだけのものではなく、それで人物の内面を読者に伝えるものにしなければならない。
小説とは、なんにしろ人間を描くものであって、「人間とは」という問いを常に心にとどめておかなくてはならない、とのことでした。
いい文章を書く、というのは、このように厳しい態度でのぞむことなんですね。
ぼくはふだん、文章をおもちゃにして遊んでいるだけなので、プロの先生がこうしてシビアに文章を向き合う姿に接するのは、いつも反省させられます。