僕の左手を知りませんか
京都の等持院で、なんとも奇妙な事件が起こりました。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/081004/crm0810040148004-n1.htm
足利将軍の木像の手首など盗難 京都・等持院 府警、窃盗容疑で捜査
足利将軍家の菩提(ぼだい)寺として知られる臨済宗・等持院(京都市北区)で、江戸時代初期に造られた室町幕府歴代将軍の木像の手首部分や刀の柄(つか)が相次いで盗まれていたことが3日、わかった。京都府警は窃盗事件として捜査しており、同寺は「目的は分からないが、許せない行為」と憤慨している。
同寺などによると、境内の霊光殿で9月上旬、初代から15代まで並んで安置されている歴代将軍の木像のうち、尊氏像の左手首部分が取れてなくなっているのを関係者が発見。数日後には、13代義晴像の左手首部分も盗まれているのが確認された。
さらに3代義満や8代義政など5体の木像で、腰に差してある刀の柄(つか)がなくなっていることも判明。いずれも被害時期は不明だという。
霊光殿は参拝者が自由に出入りすることができ、将軍像はいずれも文化財指定を受けておらず、柵(さく)や保護ケースは設けられていない。尊氏と義晴の像は、老朽化のため手首部分が外れやすくなっていたとみられており、府警は、参拝者が途切れたすきに持ち去られたとみている。
仏像などの文化財をめぐっては、盗品がネット上のオークションなどで売買されるケースもあるが、同寺の川勝承哲副住職は「うちではこんなことは初めて。お金になるようなものではないし、悪質ないたずらだ」と話している。
同寺は、14世紀中期に尊氏が禅僧の夢窓疎石を開山として創建。京都十刹の筆頭に数えられている。
手首だけ盗んでいく、というのは意味が解らなくて不気味ですね。なんかの呪術にでも使うんでしょうか。
それにしても、この尊氏像は幕末にも盗難被害に遭ってるわけで、足利家には逆賊の汚名がいつまでも付きまとうんですかね。
ところで。
尊氏はともかく、いっしょに被害に遭った足利義晴については、ニュース配信元によって「十二代」「十三代」と食い違っているようですね。
十二代説
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20081005ddm041040147000c.html
- 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081004-OYT1T00350.htm
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2008100400094&genre=J1&area=K00
十三代説
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/081004/crm0810040148004-n1.htm
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008100400218
どっちが正しいのか、と思って調べてみたんですが、実は等持院での数え方と、歴史の教科書での数え方は違うんですね。
室町幕府は、応仁の乱や明応の政変など将軍職の継承をめぐって揉め事が多かったせいかその数え方まで異説があり、一般には足利義稙(義材)が十代、足利義澄が十一代、義稙が十代に復帰し、義晴が十二代と数えられます。
しかし、等持院ではこの辺のゴタゴタに対してスルー力を発揮し、九代将軍足利義尚(オレの大好きな歴史上の人物である足利義政と、日野富子の間に生まれた息子)の次は一代飛んで十一代将軍を義稙、十二代を義澄、十三代を義晴としているのでした。
そうすると、最後の将軍として歴史もののフィクションによく登場し、いつも織田信長にいいようにやられる足利義昭は、一般には十五代ですが等持院では十六代になるのか、と思うとそんなことはなく、かわりに、夭折した十四代将軍足利義栄をなかったことにして、剣豪将軍として知られる足利義輝を十四代(一般には十三代)とし、次に義昭を十五代として、辻褄を合わせているのでした。
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黒歴史って本当にあるんですね。
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ちなみに。
「よしはる」というと、どうしても足利義晴より先に土井善晴を思い出してしまい、大泉洋のモノマネを連想して笑ってしまうんですが、どうすればいいんでしょうか。
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