虹を追いかける男

本日は、山形市で開かれた「小説家講座」を受けてまいりました。


今月の講師は、佐川光晴先生。

虹を追いかける男 (双葉文庫)

虹を追いかける男 (双葉文庫)


佐川先生は、デビュー作『生活の設計』はドストエフスキーの『地下生活者の手記』、野間文芸新人賞を受賞した『縮んだ愛』は谷崎潤一郎の『痴人の愛』を、下敷きにして発想したそうです。

地下室の手記(光文社古典新訳文庫)

地下室の手記(光文社古典新訳文庫)

痴人の愛 (新潮文庫)

痴人の愛 (新潮文庫)

どんな名作であっても、読んでいけばどこかしら「自分ならこうはしない」と思うところが出てくるはず。

そこから、自分なりの問題意識や自己の人生経験によって、新たな作品を生み出していくというのが、佐川先生の創作作法のひとつだそうです。



この手法をブログに応用するならば、初心者はまずコピペ改変をマスターせよ、ってことになりますかね。違いますね。



創作手法についてもう少し突っ込むと、佐川先生はまず最初の5枚分を書いてみて、そこから演繹法で話を展開させていくそうです。


それは自分への問い掛けでもあり、かつて自分が感じたり経験したりしたことを、新たなシチュエーションに置いて再構成してみることで、見えてくるものがあるということです。


これは純文学に特有の手法で、エンターテインメント、とくにミステリはまず結末を決めないと書き始められない、とゲストの長岡弘樹先生も言っておられました。

陽だまりの偽り

陽だまりの偽り

犯人が解らないと、ミステリは書けませんもんね。



ブログにしても、問題意識から書き始める人もいれば、まずオチありきでなきゃ書けない、ぼくみたいな人もいますしね。