美しき狼たち
こないだのコメント欄でid:Fuetaroさんに教えていただいた、『劇場版AIR』を観ました。
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…マジでシャイニング下呂吐いてる!
シャイニング下呂といってもわからない人が多いと思いますが。
この劇場版『AIR』を監督した出崎統は、かつて『あしたのジョー2』で、力石の死によるトラウマで相手の顔面を打てなくなったジョーが、無理に殴打するとリング上で吐いてしまうという場面で、ジョーの吐瀉物に透過光処理をほどこし、キラキラと輝く下呂が降り注ぐという演出をした実績があるんですね。
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今のアニメはデジタル化され、透過光という技法はなくなりましたがあくまでこの効果にこだわり、デジタル技術を駆使して再現しているというからすごいです。
シャイニング下呂のほかにも、(こっちがそういう目で見ているせいなのだが)なんかジョーっぽいなぁと思うところがいくつか。
まず、主人公の国崎往人は流れ者の青年で、ナップザック一つ持って舞台となる町にふらりと来ます。
そして、空き缶を蹴っ飛ばして、跳ぶような軽い足取りで歩き出すのですが、これはジョーがドヤ街にやってきたときと同じですね。
かくして、丹下段平ならぬ神尾観鈴(シャイニング下呂を吐く病弱な美少女)と出会い、彼女の家に転がり込むのですが、居候のくせに妙に態度がでかく、家人(美鈴の母しかいないのだが)にタメ口をきき、冷蔵庫を勝手に開けて中のものを食べる始末。
この辺の礼儀のなってなさ、常識のなさも、林屋でバイトしてもまったく使いものにならなかったジョーを思わせるものがありますね。
そして、観鈴の母の神尾晴子は、ものすごくわざとらしい関西弁で話すのですが、この人がマンモス西にあたる人物であることは言うまでもないでしょう。
どんどん苦しくなってきますが、気にしないで行きますよ!
ラストでは、観鈴の病気(原作では、千年前からの輪廻転生による因縁があったらしいが、この劇場版では単なる難病)はどんどん悪化し、歩くこともままならなくなります。
そして、往人と晴子は彼女を連れて砂浜を散歩していたのですが、観鈴が「自分で歩きたい」というので、先で待っている二人のところまでよろよろと歩かせます。
これが、ハワイのビーチでジョーの足跡を見た白木葉子が、ジョーがパンチドランカーになっていることを悟る場面から来ていることは間違いありません。ありませんったらありません。ないんだってば。
観鈴は、母のところまでたどりつくと力尽きて倒れ、そのまま息を引き取ります。
そこでちゃんと止め絵になって三回パン(これも出崎統に特徴的な演出手法)し、往人はまた放浪の旅に出て、物語は終わります。
これが、力石の死にショックを受けたジョーが放浪の旅に出るエピソードに対応している、ということが理解できない人はたぶんいないと思われます。
原作のゲームの方では、他にも二人ヒロインがいるらしいので、たぶんその二人はカーロス・リベラとホセ・メンドーサに対応しているんだと思います!金竜飛とかハリマオのことはとりあえず忘れましょう!
『AIR劇場版』観たい人は、こちらで期間限定配信されてますのでどうぞ。
http://shop.frontierworks.jp/digital/web_anime/detail84.asp
この説明で観たくなる人がいるとは思えないけどな!