悲しき天才
この記事が話題になっています。
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20070119-OHT1T00040.htm
板橋区で、娘の友人の少女が自分の悪口を言っていることに怒った母親が、子分とともに少女を暴行、バックドロップをかました上に下半身を裸にして写真を撮らせたという事件。
まぁこんなのはよくある話で、そんなにニュースバリューがあるものでもないと思うんですが、この記事の切り口はバカでいいなぁ。
バックドロップは、両腕で相手を抱え込み、後ろに投げつけ、相手の肩から頭部にダメージを与える投げ技。故ルー・テーズ氏や故ジャンボ鶴田さんが名手とされる。過去には1990年、新日本プロレス所属の後藤達俊のバックドロップを食らった馳浩氏(現衆院議員)が一時心停止に追い込まれるなど危険極まりないフィニッシュホールドだ。
バックドロップ知らない人はあんまりいないと思うんですが、参考までにジャンボ鶴田のバックドロップ43連発をどうぞ。
↑何回見ても飽きない。
で。
この動画を見るとわかると思いますが、鶴田は相手によってバックドロップの角度をかなり変えています。
とくに、1分〜1分10秒ぐらいにかけ、小橋建太や川田利明、三沢光晴に決めたバックドロップはかなり危険な角度。
ルー・テーズは生前、自分とカール・ゴッチの違いをバックドロップとジャーマン・スープレックスの違いだと語っていました。
バックドロップは相手の力量に応じて角度を変えることができるが、ジャーマンはいったん天井を見てしまえばあとはコントロール不能であり、相手に大怪我をさせる危険性がある。それが、チャンピオンとして君臨した自分と、スティッフとして敬遠されたゴッチの違いだ、ということでした。
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それに対し、バックドロップはけっこう使い手が工夫する余地があります。
たとえば、先述の後藤が馳を瀕死に追い込んだときは、後藤がグリップの位置をかなり高いところ(腋の下あたり)にしていたため、馳の上半身の可動域が極端に狭まり、受身が撮りづらかったためのアクシデントでした。
ということは、グリップの位置を低く(腰あたりに)おき、ひねりを加えずに背中から落とせば受身は取りやすくなります。
こういう、手加減の可能な技を選んだあたりは、この37歳母親にも少しは優しさが残っていたということなんでしょうか。
元記事に戻ってみると、大仁田厚のコメントもなんとも。
バックドロップはリングの上で使うもの。
場外で使ってはいかんよ。反省してほしい。
大仁田は、2003年に行われたセッド・ジニアスとの試合において、終了後の場外乱闘で、中牧昭二とともに、打ち合わせにない暴行をジニアスに加えたとして暴行罪で告訴され、大仁田も名誉毀損で告訴し返すという泥仕合を演じていたんですけどね。
その大仁田のところに話を聞きに行くというのは、なんの皮肉なんでしょうか。