Power of the sisters

GUNSLINGER GIRL 5 (電撃コミックス)

GUNSLINGER GIRL 5 (電撃コミックス)

日本の漫画やアニメには、少女が戦闘するという設定を持つものがよくみられます。
戦闘美少女の精神分析

戦闘美少女の精神分析

この点は、海外の文化との大きな違いの一つですね。

アメリカにも「ワンダーウーマン」がありましたが、テレビ版で演じていたリンダ・カーターは身長180cmはあろうかという逞しい女性でしたからねぇ。

Wonder Woman - Mini Statue (By Brian Bolland)

Wonder Woman - Mini Statue (By Brian Bolland)

とても「萌え」の対象ではありません。


古来より、日本には、女性、特に共同体の中で幼年の女性に対して神秘的な力の存在を認めるという文化があります。

これについて、柳田國男先生がまとめた有名な論考が「妹の力」です。

柳田国男全集〈11〉民謡覚書・妹の力・伝説

柳田国男全集〈11〉民謡覚書・妹の力・伝説

ここでは「いものちから」と読み、必ずしも妹と限るわけではありませんので誤解のなきよう

これに対し、澁澤龍彦先生は「姉の力」というエッセイを書いておられます。

山椒大夫」における、弟の厨子王を救うために自らの身を犠牲にする安寿。
ギリシャ神話での、少年トリプトレモスを保護する女神デメテールとペルセポネー。

こういった神話的イメージを、澁澤先生は「自分たち自身を完成しようとはしないで、自分たち自身のために地方の英雄をえらび、これを鼓舞し、保護をあたえる。そして、その英雄に愛や崇敬を求めるのではなくて、立派な行為をしてくれることを期待する」というJ.E.ハリソンの言葉をひき、「主人公たる無力な男性を庇護し、決死の自己犠牲によって、不当な境遇からこれを救出する使命をおびた、大地母神のイメージ」とまとめておられました。

こういう作品は枚挙にいとまがないですね。

ああっ女神さまっ(31) (アフタヌーンKC)

ああっ女神さまっ(31) (アフタヌーンKC)

そして、澁澤先生の筆は観音やエジプトのイシス女神を一つの大地母神として包括する理論を提唱した17世紀ドイツのエジプト学アタナシウス・キルヒャーへと進んでいきますが、この辺になるとちょっとわたしの乏しい知識ではどうにも分からないので省略します。


わかったことといえば柳田先生は妹属性であり澁澤先生は姉属性であるということですかね。