裏切り者の名を受けて

本日公開の『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語』を観てきたッス。



面白かったです。どうなるんだろう、コレどう決着つけるんだろうと観客を悩ませ、キッチリと収まるところに収めてみせ、なおかつ「本当にこれでよかったのか」という余韻まで残させる。ヒット作品の続篇として、求められる水準をしっかりクリアしていました。


導入部は、テレビ版のオープニングを再現していて、この作品がループする世界観を持っていることをまず提示してきます。とはいっても相違点はいくつかあって、先生は生徒たちの眼前でエビぞり状態になり、世界の滅亡を嘆願するなど電波系度数が格段にアップしています。プータローだった杏子が、今回は制服で学校に通っているあたりにはファンサービスの精神を感じますし、マミさんはなぜかシャルロットを使い魔にしていて、外見的には乳袋の絞りがよりタイトになった感があります。風呂上りにバスタオル一枚で出てくる場面もあったりして、この映画におけるセクシー担当は誰かということを明確に押し出しています。


前作のラストで世界の因果律は改変され、魔女の替わりに魔獣が出現するようになりました。ところが、この映画では魔女でも魔獣でもない「ナイトメア」なるものが出現し、魔法少女たちはこれと戦います。どうやら日常に不満を持った者が悪夢の世界を作り出してしまうようで、今回はまどかたちのクラスメイトである仁美が彼氏の冷たさに怒ってナイトメア化します。ベッドに倒れ込んでそのまま飲み込まれ、赤いリボンの奔流が噴き出すあたりは、『エルム街の悪夢』第1作でジョニー・デップが殺される場面を彷彿とさせます。

でもナイトメアは魔女みたいに悲惨な存在じゃなくて、魔法少女たちがマジカルバナナをやれば元に戻れる(何を言っているのかわからねーと思うが本当にマジカルバナナを始めるのである)ので、観客は「俺のまどマギがこんなにヌルいわけがない」と、この世界がかりそめのものであってここからハードな物語が展開されるであろうことを確信します。マミさんとほむほむがガン=カタで戦う場面は胸熱です。そういえば『リベリオン』は「反逆者」を意味するので、「叛逆の物語」と符合しますね。



※以下、微妙にネタバレ










観る前から、たぶんそうだろうと思ってたんですけど、前作との関係は完全に『デビルマン』と『バイオレンスジャック』のそれでしたね。

不動明を喪った飛鳥了が、世界を再構成して明を復活させ、自分の対立者として世界の軸に据える。
今回も、世界の書き換えによってまどかを喪ったほむらが、まどかによる救済を拒んで彼女の力を強引に奪い取り、世界の因果律をさらに書き換える。新たな世界ではほむらとまどかが対立するであろうことが示される。つまりサタンとデビルマンなわけですよ。ほむらが、「希望より強く絶望より深い」愛によって、魔法少女でも魔女でもない「悪魔」に変身するというのも、まぁ豪ちゃんリスペクトですよ。


だから、ここからまたいくらでも展開させられますね。世界観はいくらでも書き換えられるのだから、何が起こってもおかしくありません。それこそ、次の新作でデビルほむらがグレートマジンガーと戦ったとしても、オレはもう驚きませんね。

デビルマン対闇の帝王(1) (ヤンマガKCスペシャル)

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