ベター・ハーフ

ベター・ハーフ (集英社文庫)

ベター・ハーフ (集英社文庫)

本日は、山形市の「小説家になろう講座」で唯川恵先生のお話を聞いてきたのでした。


唯川先生といえば、コバルト文庫出身で恋愛小説を多く書かれていますから、もっと女性的というか、柔弱な物腰の方を想像していました。
ですが、実際の唯川先生はハスキーな声で歯切れよく話す方で、なんといいますか、やり手の女社長を思わせる感じでしたね。


コバルト文庫を書いておられたころは、唯川先生は学園ラブコメディを書かれていましたが、徐々にコバルトの主流が『炎の蜃気楼』などのファンタジー路線に移っていき、売れ行きが下がっていったというあたりのシビアな話もありました。
少女小説ライトノベル、と言い換えてもいい)は流行り廃りのサイクルが早く、また、書き手も歳を重ねるにつれて物足りなくなる部分もあり、読み手との世代差も開いていくので、一般小説に進出していったというお話も、単にライトノベルが書きごたえのない書き物だというのではない、書き手にとっての必然性を感じさせられました。


そこで一般小説に進出されるわけですが、集英社は小説家にも専属制度があるので、最初は集英社の中での”異動”のように小説すばるで書き始めたそうです。この辺はさすがに、作家になるまで10年の社会人経験を持つ唯川先生らしいといいますか。

めまい (集英社文庫)

めまい (集英社文庫)

で、一般小説としてはじめに書かれたのが『めまい』ですが、ここで小説家として初めて「殺人」を描くことになりました。しかし、女性が男性を殺す場面だったため、体力的にハンデのある殺人をどう描くか迷われたとのこと。そんなとき、ハードボイルド作家で武道家でもある今野敏先生に会い、確実な人の殺し方をたずねたら「首を切れ」と即答され、素直にそう書いたそうです。
ペトロ

ペトロ


カール・ゴッチは常に「いかに素手で人を殺すか」考えていたそうですが、この辺はさすがに男性作家と女性作家の資質の違い、といっていいんでしょうかね。