武道業界仁義なし

四月からの武道必修化に警鐘を鳴らすように、柔道の危険性を訴える記事が次々と出ています。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120117-OYT1T00433.htm

中高生114人、柔道で死亡していた…名大調査

 学校での柔道事故を巡っては、受け身の習得が不十分なまま投げ技練習に参加したり、頭を打った後に適切な救急措置を受けられなかったりした生徒が死亡するケースが後を絶たない。

 名古屋大の内田良准教授(教育社会学)によると、柔道事故で死亡した中学、高校生は1983〜2010年度の28年間に全国で114人(中学39人、高校75人)。中高ともに1年生が半数以上を占め、計14人が授業中の死亡例。また、後遺症が残る障害事故も83〜2009年度で275件あり、3割は授業中だった。

 中学の部活動における競技別の年間死者数(2000〜09年度の平均、10万人当たり)を見ると、柔道が2・376人で、2番目のバスケットボール(0・371人)に比べても圧倒的に多い状況だった。死亡原因の大半は頭部外傷で、内田准教授は「首の筋力などが未発達なうちに、安易に立ち技や乱取りを行わせるのは危険」と警鐘を鳴らす。

これだけ柔道の危険性を煽ると、ただでさえ減少している競技人口がさらに減っていきそうですね。フランスやドイツでは死亡事故はないと聞きますが、日本では受け身の修得に問題があるのか、それとも根性論を重んじる精神性が問題なのか、指導カリキュラムに無理があるのか、包括的に考える必要がありそうです。

それにしても、なぜ柔道ばかりがこう槍玉に上がるのでしょうか。


さては、武道必修化に合わせて、特需を見込んだ剣道用具業界のステマか……!?


流行りの言葉を使ってみました。まぁ実際には、剣道も柔道も同じ会社で扱っていたりするんですけどね。「武道具」というくくりで。

柔道の、体育教師への「義理許し」は昨日もネタにしましたが、大分県ではさらにすごい実情がありました。


http://www.asahi.com/national/update/0117/SEB201201160062.html

猛者揃い?わずか2日で柔道黒帯 大分の体育教員研修

 大分県柔道連盟が県内の中学、高校の体育教員に、2日間の講習を受けるだけで柔道の黒帯(段位)を授与していたことがわかった。講習は、同県教育庁が連盟に委託して開いており、約30年前から毎年1回行っている。

 県教育庁体育保健課によると、2011年度は14人が、10年度は5人が受講し、全員、初段になり黒帯をもらった。これまで受講した体育教員のほとんどが合格したという。

 剣道も柔道の講習と同じ日に2日間の講習を開き、11、10年度あわせて、受講した4人全員が初段に合格したという。

昨日ネタにした愛知県の例では、2日の研修→1年の自習→4日の研修と期間を設けてありましたが、こちらは2日の研修だけですのでより悪質です。全柔連も、金メダリストの不祥事でブランドイメージが損なわれている昨今だけに、綱紀粛正をはかってもらいたいものです。

剣道業界がどんなものかぼくは知りませんが、そちらでも問題になることでしょう。選手としての段位とは別に、指導要項を確立して指導者資格を設ければいいと思いますね。できれば大学の教職課程に盛り込んで。そういう制度もないまま、素人同然の教師が武道を教えるのでは、怪我人が続出するばかりで愛国心なんてとても養えないでしょうね。