どうソンですかこれ

えーと今日はですね、ロサンゼルスで開催されたボクシングの二大タイトルマッチ生中継をWOWOWで観戦しまして。


帝拳の「ゴールデンボーイホルヘ・リナレスが三階級制覇に挑むWBCライト級王者決定戦と、史上最年長戴冠王者のバーナード・ホプキンスが史上最年長防衛記録を樹立せんとするWBC世界ライトヘビー級タイトルマッチ。話題を集めた試合です。


まずはWBCライト級2位のリナレスが、同級1位のアントニオ・デマルコ(メキシコ)と対戦しました。スピードに勝るリナレスが序盤からリードしていきますが、懐の深いデマルコをなかなか崩すことができず、中盤には鼻の付け根部分を切り、また右目の上もカットして、かなりの流血。血みどろになりながらも果敢に攻め込みましたが、11回にデマルコの左ストレートを浴びて動きが止まり、なんとか打ち返そうとするもののデマルコに押し切られ、無念のTKO負けとなりました。リナレスはハンドスピードもフットワークも素晴らしかったものの、大きく独特な構えのデマルコが持つ広い制空権を突破するにはいたりませんでした。もう一歩、あと一歩を踏み込ませないデマルコの作戦が功を奏したというところでしょうか。とにかく、見ごたえのある試合ではありました。


http://www.nikkansports.com/battle/news/f-bt-tp0-20111016-850670.html


そしてメインエベントでは、46歳9ヶ月のライトヘビー級王者「死刑執行人」ことホプキンスが、IBF元王者で同級1位のチャド・ドーソンを迎え撃ちます。


1ラウンドから、ホプキンス得意の体ごと(バッティング気味に)ぶつかっていくダーティ・テクニックと、ドーソンのサウスポーから繰り出されるスピーディなパンチの攻防。


ところが2ラウンド途中、ホプキンスの大振りな右ストレートをドーソンがダッキングでかわし、ホプキンスの上体がドーソンの背の上に乗るかっこうになります。ドーソンはこれを振りほどこうと身体を起こし、ちょうどタックルから投げ捨てる形でホプキンスをキャンバス上に倒しました。ロープ際に倒れ、エプロンサイドに上体を出したホプキンスは苦痛に顔をゆがめ、肩の痛みを訴えながらレフェリーにドーソンの反則をアピールします。ホプキンスが起き上がれないまま、ゴングが打ち鳴らされて試合が終了しました。


騒然とする場内は、ドーソンの反則負けか、それともアクシデントによる無効試合かと判定を待ちます。しかし、なにしろ反則スレスレのダーティ・テクニックで知られるホプキンスのこと。負傷アピールは故意によるものでサッカーでいうシミュレーションと取られたのか、「ドーソンの反則はなし」「ホプキンスは試合続行不可能」としてまさかのドーソンTKO勝ちが宣せられました。


http://www.nikkansports.com/battle/news/f-bt-tp0-20111016-850694.html


なんというズンドコ試合。ホプキンスは反則勝ちを狙ったのでしょうが、普段のファイトスタイルのせいか信用がなかったため、アピールが裏目に出たのでしょう。場内は割れんばかりのブーイングの嵐。ドーソンへの勝利者インタビューも「やつが仕掛けてきたことだ。ホプキンスは痛いフリをしているだけ。再戦? やる理由がわからないね」と憮然たる表情で答えていました。昔の新日なら暴動になること確実の、不透明決着に見ているこちらも納得がいきません。アメリカではPPVで何十ドルも払って観ているのだろうし、賭けの対象にもなっているのだからますます納得いかないでしょう。WOWOWの高柳アナウンサーも「どうソン(すん)ですかこれ」ジョー小泉のお株を奪うダジャレを放つ始末です。


先だっては、フロイド・メイウェザーvsビクター・オルティスの試合も、注目されましたがオルティスが頭突きで注意を受け、ブレイクを命じられてまだ構えていないうちにメイウェザーがワンツーを出してノックアウト。これまた物議をかもしました。


今年のアメリカ・ボクシング界では、注目されたビッグマッチが不調に終わることが多く(マニー・パッキャオとシェーン・モズリーの試合も、モズリーが逃げ回って不完全燃焼の大差判定負け)がっかりさせられてばかりでしたが、ここへきてこれほどの不透明試合をされては、失望が大きくなりすぎます。このままじゃボクシング自体の人気も下がりそうなので、来月のパッキャオvsファン・マヌエル・マルケスラバーマッチには大いに期待したいところです。