大怪獣バラン

民主党の石井一氏が、こんな発言をしたとか。


http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100222-OYT1T01270.htm

民主・石井氏「鳥取、島根は日本のチベット

 民主党の石井一選挙対策委員長は22日、都内で開かれた川上義博・同党参院議員(鳥取選挙区)のパーティーであいさつし、「鳥取県とか島根県と言ったら、日本のチベットみたいなもので、少し語弊があるかもわからないが、人が住んでいるのか。牛が多いのか。山やら何やらあるけど、人口が少ない所」と述べた。

 川上氏が夏の参院選に向けて鳥取選挙区の候補者を発掘したため、保守地盤の鳥取での活動を評価した発言とみられる。しかし、会場からは「失礼だ」との声もあがった。

ふつう、政治家が「失言」するときは、ウケを狙うサービス精神が斜め上に向かってのことが多いですが、これは誰に向けてのサービスなのかわかりませんね。


そもそも、「日本のチベット」といえば岩手県に決まっているだろう。


大怪獣バラン [DVD]

大怪獣バラン [DVD]

東宝怪獣映画の中では比較的地味な作品として知られる『大怪獣バラン』は、岩手県北上川上流から出てきた怪獣バランが、自衛隊と戦います。


劇中では、この怪獣の出身地について、周辺の地域のことを「部落」と呼んだり(東北地方では「部落」に同和地域の意味はない)、「日本のチベット」と呼んだりするので、以前発売されていたビデオソフトでは一部の音声がカットされておりました。現行版にはちゃんと収録されてるはずですけどね。


(ちなみに、東宝特撮にはこういう削除バージョンがままあり、『三大怪獣・地球最大の決戦』や『フランケンシュタイン対地底怪獣』でも「きちがい」「めくら」などというセリフを削除したビデオソフトが発売されていた時期があった)


同じ岩手県北上川上流を舞台にした、問題のある映画としては新東宝の『九十九本目の生娘』も有名です。




若き菅原文太が主演しているのですが、山奥の部落に住む野蛮人が女をいけにえにして妖刀を作るという内容があまりに差別的だとして、今でもDVD化されていません。


(ちなみに、東宝特撮の封印作品である『獣人雪男』は、長野県の日本アルプスを舞台にしている)


これらの、山の封印映画についてくわしくはこちら参照。


http://www.vega.or.jp/~bazil/junkvideo/tibet_in_japan.htm


それにしても、島根・鳥取を「日本のチベット」と呼ぶのは、かつてない用法ですね。


たぶん、岩手県出身の小沢一郎幹事長に対するリップサービスなんじゃないかと思うです。

岩手県の山 (新・分県登山ガイド) (新・分県登山ガイド2)

岩手県の山 (新・分県登山ガイド) (新・分県登山ガイド2)