八日目の蝉

八日目の蝉

八日目の蝉

本日は、仙台文学館で開かれた、角田光代先生の「小説家・ライター講座」を受けてまいりました。


今回テキストとして採用された受講生の作品に、読んでいて非常に息苦しさを覚えるものがありました。その閉塞感について、角田先生は「登場人物の行動すべてに心理的な説明がつくので、読者に逃げ場がなくなる」と説明されています。


その作品は、養護学校でのいじめを描いた重苦しい作品なのですが、その息苦しさは題材から来ているのではなく、読者を追い詰めるその構造から来ている、というのはぼくが今まで気づかないでいたことで、新鮮でした。どこかに不条理を残していたほうが、読者に「この先を読みたい」という気持ちを起こさせるんですね。


池上冬樹先生によるインタビューも興味深く聞かせていただきました。早稲田大学に在学中、コバルト文庫でデビュー(別名義)したものの編集部から言われるままに書くのが苦痛だったこととか、小学一年のころから「作家になる」と決めていたので、国語以外の理科や社会にまったく興味がなく、大学に入るまで四国の存在を知らなかったというエピソードは実に味わい深かったです。

恐るべきさぬきうどん 2009 特別版 (2009) (ブッキングムックシリーズ)

恐るべきさぬきうどん 2009 特別版 (2009) (ブッキングムックシリーズ)


懇親会でも楽しいお話を聞かせていただきました。ぼくがブログを書いていることについて、

面白いこと考えて、ただで読ませるのって勿体無くない?

とおっしゃったのは、考えたこともなかっただけに新鮮でした。多くのネットユーザーには「情報は共有されるべき」という感覚があって、自分の考えたネタがどこかで話題にされたり、トラックバックがついたりするとすごくうれしかったりするのですが、これは素人の感覚であって、プロはやっぱり違うんですねぇ。