ウォー・ゲーム

時をかける少女 [Blu-ray]

時をかける少女 [Blu-ray]

時をかける少女』が面白かった記憶があるので、同じ細田守監督・貞本義行キャラデザの『サマーウォーズ』を観てきたんですよ。

今回も期待して、公開初日に劇場へ駆けつけたんですけども。


…これ、大人が見る映画じゃなかったですね。子ども向けのアニメでした。ぜんぜん知らないのに子どもに付き合って「デジモン」かなんか見てるような、そんな感じが最後までぬぐえずじまいで。というか調べてみたら、細田監督の『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』とまったく同じ話のようです。


この映画は、主人公が高校の先輩である女の子に頼まれ、彼氏のフリをして実家のひいおばあちゃんに会いにいくところから始まります。ラブコメものの定番ですね。


で、その実家は古い木造のお屋敷で、そこには一族郎党(主に女系家族)が集まっていて、都会の核家族育ちの主人公は、大家族のバイタリティとおおらかさにカルチャーショックを受けます。家族ものの定番ですね。


んで、全世界ネットワークサイトである「OZ」が軍事目的で開発されたAIの暴走によってハッキングされ、世界規模で大混乱が起きます。SFものの定番ですね。



この三つの定番をうまく同時進行させていくわけですが、SFもの・ネットものとしてのリアリティにちょっと難があるといいますか。




※以下ネタバレ


























暴走したAI「ラブマシーン」は、OZ(コミュニケーションやショッピング、ビジネスまでを一括して扱うネットワーキングサービス)ユーザーのアカウントを次々に乗っ取り、そのアカウントが持っている職務上の権限を悪用して、世界規模でインフラに大混乱を発生させます。もしアメリカ大統領のアカウントが乗っ取られたら、核ミサイルの発射ボタンを押してしまうかもしれないというから穏やかではありません。


これに対抗するため、ひいばあちゃん(声は富司純子)は旧知のエライさんたち(警視総監とか、大会社の社長とか)に電話をかけて励まし、主人公は親戚の男の子(天才ゲーマー、声は谷村美月)といっしょになってOZ上の格闘ゲームでラブマシーンに戦いを挑み(この辺はホントにデジモンみたいな絵面である)、家族が一丸となって危機に立ち向かっていくわけですけど。


最後の戦いでは、ヒロインが、全世界のOZユーザーから託されたアカウントを賭け金として、ラブマシーンと花札で勝負します。彼女が勝てば、乗っ取られたアカウントは帰ってくる、ということなんですが。


…そんな、ゲームの勝ち負けで取引されるようなアカウントに職務上の権限を持たせるなよ!


これはちょっと「ないわー」感がぬぐえませんでした。


んでまぁ、ヒロインが勝つんですがラブマシーンは最後っ屁として、人工衛星を主人公たちがいる家に落とします。


これを回避するため、主人公は得意の数学を駆使してパスワードを解きながら、衛星の落下を制御しているGPSのシステムに介入して落下場所をずらそうとします。時間は残り数分、はたして間に合うか、とサスペンスを盛り上げる展開ではあるんですけど、ですけども、ね。


落ちる場所が解ってるんなら、近所の人にも呼びかけて避難した方が安全だろうと。落下地点をずらしても、どこに落ちるか解んなければ余計に被害が広がるかもしれないだろう、と。どうしても、ツッコミを入れたくなる感がぬぐえませんでした。


というわけで、いろんな感がぬぐえないまま終わってしまった感がぬぐえなかったといいますか。


ぬぐえない感をぬぐえないままスタッフロールを見ていたら、ハーモニー処理で「高屋法子」の名があるのに気付きました。元気そうで何よりです。