きのうの神さま

本日は、仙台文学館で「小説家・ライター講座」を受講してまいりました。


今月の講師は、学習院大学教授で文芸・映画・漫画などの評論家としても有名な、中条省平先生です。

この「小説家・ライター講座」は、受講生が提出したテキストを教材として、通常は

  • 受講生からの感想・質問
  • 作者の解説
  • 講師による講評

という順序で進行されるのですが、中条先生に限っては

  • 講師による講評

がノンストップで続けられる、というスタイルで進行していただきました。コーディネーターである池上冬樹先生も、今回はほとんど発言されていません。


中条先生の講評は、文章の細かいところにまで具体的な指摘をくださる、テクニックに重点をおいたものですが、絶妙のユーモアを交えて話されるので堅苦しさはまったく感じられず、会場には笑い声が絶えませんでした。


うちのブログでもよくやってしまうのですが、「いわゆる」という単語で文章を濁したり、文末を「○○らしい」「××だという」と曖昧な書き方にすることがあります。


これらの書き方は、読み手にゲタを預けることであり、書き手の信用を損なうものなので、避けたほうがよいとのこと。


あと、文意を明確にするためには、文章はなるべく名詞で、主語となる単語ではじめるべし、というアドバイスもいただきました。
主語にかかる形容詞をいくつも重ねてはじめる書き方は、読みづらくなるんですね。


たとえば、『ウルトラマンレオ』の話をするときに、

と書いてしまうと、主語がどこにあるのかわからなくなります。ここは、文章を分けて

と書けばわかりやすくなります。

DVDウルトラマンレオ Vol.1

DVDウルトラマンレオ Vol.1

なんとなく、一つの文章に多くの情報量を詰め込むと頭が良く見えそうな感じがありますが、無理しないほうが読みやすくなるんですね。


講座の後半では、西川美和の『きのうの神さま』をテキストとして、うまい文章の具体例を教えていただきました。

きのうの神さま

きのうの神さま

直木賞候補にもなったこの本は、西川監督の最新作『ディア・ドクター』と世界観を共有する短篇集で、映画に登場する人物の背景や過去が語られています。ぼくは映画は未見ですが、文章には絶妙な比喩やダブルミーニングが巧みに織り交ぜられていて、観た人ならより楽しめる作品だと思います。



ありがとうございました。今回は都合が悪く、講座の後の懇親会に出席できなかったのが返す返すも残念です。