亜愛一郎の逃亡

推理作家の泡坂妻夫先生がお亡くなりになりました。


http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20090204-OYT1T00506.htm

本格推理小説の名手、作家の泡坂妻夫さん死去

 奇術的なトリックを取り入れた本格推理小説の名手で、直木賞作家の泡坂妻夫(あわさか・つまお、本名・厚川昌男=あつかわ・まさお)さんが3日午後6時36分、死去した。75歳だった。喪主は妻、耀子さん。

 東京生まれ。紋章上絵師の家業を継ぐ傍ら、趣味で多くの創作奇術を発表。1976年、名探偵・亜愛一郎(あ・あいいちろう)の登場する「DL2号機事件」(幻影城新人賞佳作)を発表し作家活動を始めた。奇術がテーマの「11枚のトランプ」や日本推理作家協会賞の「乱れからくり」、夢幻的なサスペンス「湖底のまつり」などで評価を受け、本そのものに仕掛けのある「しあわせの書」「生者と死者」など奇想天外なミステリーを次々と発表した。

 90年には職人の世界を描いた「蔭桔梗」で直木賞を受賞。時代小説も多く手がけた。88年「折鶴」で泉鏡花文学賞

 3日昼に体調不良を訴え、病院に運ばれた。

 ミステリー作家の有栖川有栖さんの話「紙の上でマジックするようなトリッキーな世界を展開し、謎が鮮やかに解かれる美しさを描いた。人をだますことにかける情熱は芸術的で職人的な創作姿勢を尊敬していた」

亜愛一郎シリーズは、ぼくのバイブルの一つです。

亜愛一郎の逃亡 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

亜愛一郎の逃亡 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

人を食ったようなユーモアと奇想天外な論理展開、謎が解けた瞬間の痛快さはまさに短編ミステリの理想形というにふさわしいものでした。


ちなみに。


亜愛一郎のネーミングは、名探偵辞典のたぐいで最初に挙げられるように、50音順で一番を狙ったものだそうです。


これと同じ発想で名付けられたのがアート引越センターで、電話帳で一番に出てくるように「ア」で「−」ということにしたんですね。


http://www.the0123.com/

で、アート引越センターの成功を受けて「アース引越センター」ができ、さらに「アーク引越センター」に抜かれ、富山県には「アーイ引越センター」があり、最終的には「アー引越や」「アーア引越センター」「アーアーア引越センター」「アーアーアーアーアンシン引越サービス」など、とにかくアーアー言ってればそれでいいというコンセプトのもとに引越業者が乱立しているのでありました。


亜愛一郎には、亜仁一郎という父親と、亜智一郎という先祖もいるのですが、やっぱり後から生まれた人の方が有利なんですねぇ。

亜智一郎の恐慌 (創元推理文庫)

亜智一郎の恐慌 (創元推理文庫)

つつしんでご冥福をお祈りします。