ボンクラが非ボンクラの彼女に映画世界を軽く紹介するための10本

まあ、どのくらいの数のボンクラがそういう彼女をゲットできるかは別にして、
「ボンクラではまったくないんだが、しかし自分のボンクラ趣味を肯定的に黙認してくれて、
その上で全く知らないボンクラ映画の世界とはなんなのか、ちょっとだけ好奇心持ってる」
ような、ボンクラの都合のいい妄想の中に出てきそうな彼女に、ボンクラ映画のことを紹介するために
見せるべき10本を選んでみたいのだけれど。
(要は「脱オタクファッションガイド」の正反対版だな。彼女にボンクラ映画を布教するのではなく
相互のコミュニケーションの入口として)


あくまで「入口」なので、時間的に過大な負担を伴う三部作、四部作の映画は避けたい。
できれば単品映画、長くてもパート2にとどめたい。


あと、いくら映画的に基礎といっても古びを感じすぎるものは避けたい。
漫画好きが『新宝島』は外せないと言っても、それはちょっとさすがになあ、と思う。
そういう感じ。


彼女の設定は

映画知識はいわゆる「The Movie」的なものを除けば、『タイタニック』程度は見ている

サブカル度も低いが、頭はけっこう良い

という条件で。

まずは俺的に。出した順番は実質的には意味がない。

ブレードランナーリドリー・スコット監督)


まあ、いきなりここかよとも思うけれど、「ブレラン以前」を濃縮しきっていて、「ブレラン以後」を決定づけたという点では
外せないんだよなあ。エビも二つで充分だし。
ただ、ここでボンクラトーク全開にしてしまうと、彼女との関係が崩れるかも。
この情報過多な作品について、どれだけさらりと、嫌味にならず濃すぎず、それでいて必要最小限の情報を彼女に
伝えられるかということは、ボンクラ側の「真のコミュニケーション能力」の試験としてはいいタスクだろうと思う。

ファイト・クラブデヴィッド・フィンチャー監督)、ブルース・ブラザーズジョン・ランディス監督)


アレって典型的な「ボンクラが考える一般人に受け入れられそうな映画(そうボンクラが思い込んでいるだけ。実際は全然受け入れられない)」そのもの
という意見には半分賛成・半分反対なのだけれど、それを彼女にぶつけて確かめてみるには
一番よさそうな素材なんじゃないのかな。
「ボンクラとしてはこの二つは“映画”としていいと思うんだけど、率直に言ってどう?」って。

スター・ウォーズジョージ・ルーカス監督)


ある種のSFボンクラが持ってる宇宙への憧憬と、ILM監修のボンクラ的な考証へのこだわりを
彼女に紹介するという意味ではいいなと思うのと、それに加えていかにもルーカスな


「童貞的なださカッコよさ」を体現するルーク
「童貞的に好みな女」を体現するレイア


の二人をはじめとして、ボンクラ好きのするキャラを世界にちりばめているのが、紹介してみたい理由。

太陽を盗んだ男長谷川和彦監督)


たぶんこれを見た彼女は「ストーンズ来たよね」と言ってくれるかもしれないが、そこが狙いといえば狙い。
この系譜の作品がその後続いていないこと、これがボンクラ界隈では大人気になったこと、
アメリカなら実写テレビドラマになって、それが日本に輸入されてもおかしくはなさそうなのに、
日本国内でこういうのがつくられないこと、なんかを非ボンクラ彼女と話してみたいかな、という妄想的願望。

2001年宇宙の旅スタンリー・キューブリック監督)


「やっぱりSFはマニアのためのものだよね」という話になったときに、そこで選ぶのは『惑星ソラリス
でもいいのだけれど、そこでこっちを選んだのは、この作品にかけるキューブリックの思いが好きだから。
断腸の思いで削りに削ってそれでも2時間21分、っていう尺が、どうしても俺の心をつかんでしまうのは、
その「捨てる」ということへの諦めきれなさがいかにもボンクラ的だなあと思えてしまうから。
『2001年』の長さを俺自身は冗長とは思わないし、もう削れないだろうとは思うけれど、一方でこれが
深作欣二石井輝男だったらきっちり1時間40分にしてしまうだろうとも思う。
なのに、各所に頭下げて迷惑かけて2時間21分を作ってしまう、というあたり、どうしても
「自分の物語を形作ってきたものが捨てられないボンクラ」としては、たとえキューブリックがそういうキャラでなかったとしても、
親近感を禁じ得ない。作品自体の高評価と合わせて、そんなことを彼女に話してみたい。

遊星からの物体Xジョン・カーペンター監督)


今の若年層でノリス・モンスター見たことのある人はそんなにいないと思うのだけれど、だから紹介してみたい。
エスケープ・フロム・L.A.』よりも前の段階で、カーペンターの哲学とか撮影技法とかはこの作品で頂点に達していたとも言えて、
こういうクオリティの作品が劇場映画でこの時代にかかっていたんだよ、というのは、
別に俺自身がなんらそこに貢献してなくとも、なんとなく映画好きとしては不思議に誇らしいし、
いわゆるスネーク・プリスケンものでしかカーペンターを知らない彼女には見せてあげたいなと思う。

天空の城ラピュタ宮崎駿監督)


パヤオの「目」あるいは「絵づくり」をボンクラとして教えたい、というお節介焼きから見せる、ということではなくて。
「土から離れた空中都市で毎日生きる」的な感覚がボンクラには共通してあるのかなということを感じていて、
だからこそラピュタのエンディングはバルス以外ではあり得なかったとも思う。
「目玉焼きを乗せたトーストを食べる」というボンクラの感覚が今日さらに強まっているとするなら、その「ボンクラの気分」の
源はラピュタにあったんじゃないか、という、そんな理屈はかけらも口にせずに、
単純に楽しんでもらえるかどうかを見てみたい。

伝説巨神イデオン 発動篇(富野喜幸監督)


これは地雷だよなあ。地雷が火を噴くか否か、そこのスリルを味わってみたいなあ。
こういうカルト宗教風味の戦争をこういうかたちでアニメ化して、それが非ボンクラに受け入れられるか
気持ち悪さを誘発するか、というのを見てみたい。

ゾンビ(ジョージ・A・ロメロ監督)


9本まではあっさり決まったんだけど10本目は空白でもいいかな、などと思いつつ、便宜的にゾンビを選んだ。
ブレランから始まってゾンビで終わるのもそれなりに収まりはいいだろうし、ベトナム戦争以降のニューシネマホラー時代の先駆けと
なった作品でもあるし、紹介する価値はあるのだろうけど、もっと他にいい作品がありそうな気もする。
というわけで、俺のこういう意図にそって、もっといい10本目はこんなのどうよ、というのがあったら
教えてください。



「駄目だこのボンクラは。俺がちゃんとしたリストを作ってやる」というのは大歓迎。


こういう試みそのものに関する意見も聞けたら嬉しい。


※元ネタ:アニオタが非オタの彼女にアニメ世界を軽く紹介するための10本


改変コピペがはやってるので、うちでもやってみました。
作品のセレクションは、昨年の「映画オールタイムベストテン」結果に準じています。


「俺がちゃんとしたリストを作ってやる」という方は、12月になったら今年もまたやろうと思いますので、それまでお待ち下さい。