鮮血の美学
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今日は13日の金曜日ですので、毎回恒例*1の「スプラッター・カーニバル」を開催します。
映画史元年は、一般に1895年とされています。
これより前に、エジソンがキネトスコープを発明してはいましたが、これは一人用で覗き込むシステムでしたので、リュミエール兄弟がスクリーンに映写するシネマトグラフを発明した1895年を映画史元年とするのが普通です。
で、1895年にはすでに「スコットランド女王メアリの処刑」という短編映画(というか当時は短編しかない)が公開されて話題になりました。
「ジョジョの奇妙な冒険」第一部でおなじみ*2の女王メアリー・スチュアートがギロチンで処刑される姿を描いたこの作品は、ギロチンの刃が落下すると女王の首がゴロリと落ちるというだけの内容でしたが、当時としてはかなりショッキングなものでした。
これを史上初のスプラッター映画としてまず問題ないでしょう。
つまり、映画とはその創成期からスプラッターとともにあるわけです。
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映画史に燦然と輝くこの名作は、スプラッターの歴史にも燦然と輝いているのであります。
1928年には、サルバドール・ダリとルイス・ブニュエルがシュールレアリズム映像詩といえる短編作品「アンダルシアの犬」を製作しています。
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「サンゲリア」や「ゾンゲリア」といった、「目ん玉ぶっすー映画」の元祖といえるでしょうね。
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ですが。
これらの映画では、首がスパッと斬れても血が一滴も出ませんでした。
血が出る映画の元祖といえば、1962年に黒澤明監督が撮った「椿三十郎」がその嚆矢といわれております。
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ポンプの操作ミスによって予想以上に血が出てしまった、というハプニング性も、よく知られているところであります。
アメリカでは、次の年の1963年にハーシェル・ゴードン・ルイスが「血の祝祭日」を撮り、はじめて内臓をカラーでババーンとスクリーンに映し出しました。
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演技も演出も編集もまったくのシロウト、特殊メイクは稚拙、ストーリーはガタガタ、という、歴史的意義以外にはまったく観るべきもののない作品ですね。
これらの作品は、ハリウッドとは無縁のインディーズ映画です。
当時のハリウッドは、1930年代に制定されたヘイズ・コードに縛られており、撃たれたり斬られたりしても出血する描写ができませんでした。
これが撤廃され、ハリウッド映画ではじめて血が吹き出る描写をしたのが、1968年の「俺たちに明日はない」です。
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この作品から「アメリカン・ニューシネマ」というムーヴメントが生まれていった、ということはこの本に詳しく載っています。
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80年代になるとスプラッターは次々に量産されていき、日本でも当時黎明期にあったレンタルビデオ界をにぎわせることになりました。
うんざりするほど出た作品の中で、とくにわたしのお気に入りなのがコレ。
最低映画館〜バーニング(THE BURNING)
今調べてみたら、DVD化されてなかったんですね。
この作品は、キャンプ場で謎の怪人がおバカな若者たちを血祭りにあげていく…という、あきらかに「13金」をパクったストーリーですが、演出が手堅いのでけっこう楽しめます。
音楽はなぜかリック・ウェイクマン。
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この作品、日本では殺人鬼に「バンボロ」という名前を勝手につけて*3、「全米で殺人行脚を続ける殺人鬼」として宣伝したのですが、実際の劇中では殺人鬼には「クロプシー」という名前があり、最後までその名前しか呼ばれないというインチキ宣伝が今でも語り草になっています。
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