恐怖の池戸定治

キング・コング」を観たわけですが。


この映画に限らず、怪獣映画というのは偏見をベースにして出来上がっているといっても過言ではないジャンルでありまして、今回の作品にも白人女性をかどわかす土人という危険な人々が1933年のオリジナル版そのままの姿で登場しています。

キング・コング [DVD]

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腰の引けた日本のメディアでは不可能な表現でしょうねぇ。


で、コングをニューヨークに連れてきて見世物にするシーンでは、髑髏島の住人を再現した土人ショーが行われます。

この作品とほぼ同じ時代のパリでは、ニューカレドニアの原住民を「パリ見物に行かないか?」と言葉巧みに誘い出して「人喰いの野蛮人」として博覧会の見世物にしたという人権蹂躙事件もあった、ということを頭の片隅に置いておいてもいいでしょう。

カニバル(食人種) (Echo‐monde:collection fiction fran〓aise)

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ゴリラは獰猛でおそろしい野獣、という偏見も根強いものがありますね。

霧のなかのゴリラ―マウンテンゴリラとの13年 (平凡社ライブラリー)

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愛は霧のかなたに [DVD]

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最近でこそ、「ゴリラは臆病で神経質な動物」という認識がだいぶ浸透してきましたが。
殺人百科

殺人百科

殺人王〈2〉―世界殺人鬼ファイル 地獄の毒毒キラー

殺人王〈2〉―世界殺人鬼ファイル 地獄の毒毒キラー

これらの本には、1926年から27年にかけて、アメリカとカナダで犯行を重ねたアール・ネルソンという連続殺人犯が紹介されています。
http://www8.ocn.ne.jp/~moonston/lady.htm
(↑こちらの一番下にも詳しく載っています)
10代から60代までの女性を暴行して殺害し、8ヶ月の乳児も口の中に布を押し込んで窒息死させるという残忍な手口で少なくとも22人を殺害したこの男。

被害者をみんな殺害していたため目撃証言が少なく、犯人像がなかなか掴めなかったので当時のマスコミは憶測で「闇の絞殺魔」などの異名を付けて報道していました。

犯行はエスカレートし、4日間連続で4人を殺害するという事態に。

マスコミはさらに狂騒状態になり、「闇の絞殺魔」の異名は新たに「恐怖の人間ゴリラ」へと発展していきました。

ゴリラーマン (1) (講談社漫画文庫)

ゴリラーマン (1) (講談社漫画文庫)

ダイアン・フォッシーさんが聞いたら激怒していたことでしょうねぇ。