ハードボイルドだど

「オトコは『オンナ』より『モノ』が好き」といっている方がいらっしゃいます。
http://d.hatena.ne.jp/zozo_mix/20050418
この意見は、本当は「そんなことはない」と否定するべきなんでしょうけど、オトコとしては同意せざるを得ないものがありますね。

自分を振り返ってみても、これまでの人生で女性を一人も好きにならなかったわけではありませんが、ギターよりも好きになった人は一人もいなかったもんなぁ。


まぁオレのことはどうでもよろしい。


この方も言っておられますが、男性向けの小説やら漫画やらでは、小道具の描写に費やす力が、人物の心理描写に費やすそれよりもはるかに勝っていることがままあります。

男性作家が力を入れる小道具の代表といえば、「鉄砲」ですね。

ブラック・ラグーン (2) (サンデーGXコミックス)

ブラック・ラグーン (2) (サンデーGXコミックス)

作中では、レヴィ(表紙の女の子)は「こんなモンはな、撃てて当たりゃいいんだよ」と言ってますが、作者がそんな風に思っていないことは明らかですね。登場人物が持つ銃に対するこだわりは尋常ではありません。

深夜プラス1 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 18‐1))

深夜プラス1 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 18‐1))

この小説でも、主人公と相棒の間で交わされるガン問答のシーンがあります。
大型で取り回しの悪いモーゼル・ミリタリーを敢えて使っているというのが、主人公のダンディズムのあらわれですね。
対して、相棒はリボルバーに5発しか弾丸を入れないで持ち歩いています。実用一辺倒、というのが彼のダンディズムなわけですね。


こんな風に、小道具についての描写で人物の人となりを表す、というのがハードボイルドの手法です。
この方なんかはそれを極めてますね。

孤狼は挫けず (徳間文庫)

孤狼は挫けず (徳間文庫)

あぁステキなジャケットだ。
心なんかちゃんちゃらオカシイ、ってな調子でひたすら小道具の描写に終始しています。

ただ、この先生はカタカナや「・」(ナカグロ)の使い方にちょっとクセがあって、
「リー・ライダーズのデニム・ジャケットを着、レイ・バンのシューティング・ゴッグルを
かけて」
なんて感じで固有名詞や商品名を羅列する文章が延々と続くことになります。
レイバンをレイ・バンと書くのはこの人の小説以外では見たことがありません

晩年の作品になるほどその傾向がエスカレートしていき、「トンデモ本の世界R」で紹介されて有名になった「餓狼の弾痕」なんかはもはや小説にならなくなっています。

餓狼の弾痕 (角川文庫)

餓狼の弾痕 (角川文庫)

まぁ、女性に呆れられるのも無理はありませんわな。


最初に取り上げた日記の方は、「終戦のローレライ」がダメだ、ということから冒頭の意見に至ったようですが、拳銃とか潜水艦とかロケットとかいうのはフロイト的に考えると実にわかりやすい男性の象徴ですね。女性にはその魅力が理解できない、というのは仕方ないことなんでしょう。