キング・オブ・特訓映画

先週あたりから、二宮ひかる先生の新作の影響か、どうも当ブログが心持ち男らしさ減少気味になっています。これではイカン。


というわけで、今日は特訓についてです。

この世には、「特訓映画」というジャンルがあります。
いや、あるってことにしといて下さい。

例えば、「ロッキー」シリーズなんかは特訓シーンが一つの大きな見せ場になってますね。

ロッキー〈特別編〉 [DVD]

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フィラデルフィア美術館の階段を駆け上がるシーンの感動は今も忘れられません。


クンフー映画にも特訓は欠かせません。

酔拳 [DVD]

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この映画の、空気イス状態のジャッキー・チェンの頭や膝におちょこを置かれるシーンをご記憶の方も多いでしょう。キル・ビル2」にも、主人公がカンフーの達人で800歳の怪僧、パイ・メイに弟子入りして特訓を受けるシーンがあります。タランティーノ監督の趣味が炸裂した部分ですね。


そして、この映画でパイ・メイを演じたリュー・チャーフィーがかつて主演した、特訓映画の最高峰がこちらです。

少林寺三十六房 [DVD]

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ストーリーはごくシンプルなもの。

清朝の弾圧により父を殺された青年サンテイは、少林寺に入門して武術を修行する。
5年の修行の末、少林寺の三十五房すべてを修めたサンテイ。
下山して、父の仇である将軍を倒した彼は、清朝に反抗する若者たちを集めて武術を教える、少林寺第三十六の房を開くのであった。

まとめてみたら想像以上にシンプルだ。

この特訓が素晴らしい。

  • 流木の上を歩き、バランス感覚を養う。
  • 脇の下に刀を付けて水桶を運び、腕力を鍛える。
  • 長い竹ざおの先にオモリを付けたもので鐘を鳴らし、リストを鍛える。
  • 素早く動く蝋燭の光を目で追い、動体視力と反射神経を鍛える。
  • サンドバッグに頭突きをかます

これらの特訓が、下山してからいちいちすべて役に立つという伏線の回収っぷりもステキです。

重ねて素晴らしいのが、指導者である上人さまたちが一人残らずいい人だということ。


最初の房で、上手く流木渡りが出来ないサンテイを、上人さまは厳しく叱咤します。先輩たちがその姿を見て笑っていると、上人さまは「初心者を笑うでない!」と一喝。いい人だ。


次の房で、メキメキとパワーを付けたサンテイが、倒れそうになった仲間を助けたのを見た上人さま。
「手を貸しては修行にならん!サンテイ、お前は戒律に違反した。罰として、次の房に進むことを命じる!」いい人だ。


リストを鍛える房で、竹ざおの端を持ったサンテイがオモリを持ち上げられないのを見た上人さま。
「上がらなければ、2尺先を持ってよろしい」無理はさせない、いい人だ。


すべての房で修行を終えたサンテイ。管長さまから役職を任命されますがそれを固辞、「門外不出だった少林寺武術を民間に開放したい」と直訴します。色めき経つ幹部たち。
そこに「サンテイ、お主は管長であるわたしに背いた。罰として、下山しての托鉢修行を命ずる」という管長さま。やっぱりいい人だ。第二の房と同じだけど。

DVDに収録されている吹き替え版では、管長さまは高木均ムーミンパパや「銀河鉄道999」のナレーションでも聞かせていた包容力が味わえます。

銀河鉄道999 TV Animation 01 [DVD]

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主役の声は池田秀一。入門前はわりと弱々しい感じだったのが、逞しく成長していくのを見事に演じています。


ア・バオア・クーでシャアがアムロに言った、「いくらニュータイプでも、肉体を使う戦いは、訓練をしなければな!」という台詞は、三十五の房で修行をしたという自信に裏打ちされたものだったのですね。

それはそれとして

今日発売の「ヤングチャンピオン」に掲載されている「ブラック・ジャックALIVE」はきくち正太先生。予想と寸分狂わぬ、粋でいなせな江戸っ子の世界なのはいいのですが、少しは似せる努力をしていただけませんか。

そしてお礼

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