あんたこの傷痕をどう思う
- 作者: 二宮ひかる
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 1998/01
- メディア: コミック
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巻頭に収録されている短編「ひまわり」のヒロイン、春日友恵の脇腹には子供の頃に負った大きな傷痕があります。
彼女は、主人公に裸身をさらして
「やりたいようにやってよ、ただしこんなカラダでよかったらね」
と言い、怯む男に対し
「じゃあさ、これが目に入らないように後ろからやってよ」
とまで言うのでした。
男にとっては、傷痕も自慢の対象になります。
何針縫った、なんてのは一種の武勇伝ですからね。
しかし、女の子にとってはそうではありません。
わたしが小学生の頃のことです。
同級生にM子ちゃんという女の子がいました。
ある夏の日のこと、半そでのシャツを着た彼女の腕に、わりに大きな火傷の痕があるのにわたしは気が付きました。
M子は、どうしたものか分からずに戸惑うわたしに対してこんな事を言ったのです。
「あたしね、こんなキズモノだから、お嫁に行けないんだ」
そのときのわたしの気持ちを何と形容するべきでしょう。
大げさなことを言う彼女に対する驚きのようでもあり、軽々しく自分を卑下する彼女に対する怒りのようでもあり、彼女の心が傷付いている事に対する憐憫のようでもあり、おそらくはそれらがない交ぜになった何とも言いようのない気持ち。
そんな気持ちは初めてでした。
幼いわたしには、彼女に対してなにも言うことができなかったのです。
M子はその年に転校していき、二度と会うことはありませんでした。
あのとき、M子になんて言うべきだったのだろう。
・・・そんな記憶を呼び覚ましてくれる作品です。
ちなみに、今日の日記タイトルは「必殺仕業人」風です。やっぱり意味はありません。
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- 発売日: 2004/11/03
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