受け継がれる魂

昨日の日記で、「意味もなく有名人の名前を文中に入れるとアクセスが増える」という単純な事実に気付きました。反省してます。

それはそうと

わたしは、あまり漫画家のグッズを熱心に集める方ではありません。
地方に住んでいるとサイン会にもあまり行けませんしね。

そのわたしが、直筆サインを貰った漫画家が2人だけいます。
1人は永井豪。そしてもう1人が村枝賢一です。

仮面ライダーSPIRITS(1) (マガジンZKC)

仮面ライダーSPIRITS(1) (マガジンZKC)

仮面ライダーSPIRITS」の特色は、「テレビ版の漫画化」という点にあります。
石ノ森先生による原作では、ライダーの体の表面はツルッとしていて、服なのか外皮なのかよくわからないようになっています。

しかし、村枝先生によるこの漫画作品では、ライダースーツの質感を超リアルに再現。手袋やマフラーに至るまでテレビで見たのと寸分狂わぬディテールです。


そして、何より忠実に再現されているのがそのスピリッツです。

現行の平成ライダーシリーズに物足りなさを感じる向きも多いでしょう。
その理由はいくつもありますが、「主人公が改造人間でない」こともその一つと思われます。

仮面ライダーは改造人間。それは、悪の科学によって人間性を奪われた存在です。
その彼が、悪と闘うことによって、奪われた人間の尊厳を取り戻す。
それが昭和の仮面ライダーが持っていたテーマでした。

そのテーマ性が最もよく出ていたのが「仮面ライダーV3」でしょう。

仮面ライダーV3 BOX [DVD]

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主人公の風見史郎は、第1話でデストロン怪人ハサミジャガーに両親と妹を殺されます。
その復讐のため、「自分を改造人間にしてくれ」と、先輩である本郷武(仮面ライダー1号)に懇願しますが、本郷は拒否します。仮面ライダーになる、というのは人間でなくなることだからです。
しかし、風見史郎はライダー1号&2号をかばって瀕死の重傷を負い、彼の命を救うためにWライダーは彼を仮面ライダーV3に改造する手術を施すわけです。

つまり、第1話で主人公はすべてを失います。

そして、カメバズーカの体内の核爆弾とともに太平洋の彼方に消えたWライダーの遺志を継ぎ、V3はデストロンとの闘いを続ける決心をします。

復讐のための闘いから、正義のための闘いへの転換。

放送後期になってライダーマンが登場すると、このテーマは再びクローズアップされます。

ポピニカ スーパーマシンシリーズ ライダーマンマシン

ポピニカ スーパーマシンシリーズ ライダーマンマシン

ライダーマン・結城丈二は、かつてデストロンの幹部候補の科学者でしたが、ヨロイ元帥の陰謀によって陥れられ、処刑寸前のところを脱出しますが、右腕を失います。

ヨロイ元帥への復讐のためだけに闘うライダーマンの姿にかつての自分を見たV3は、復讐のためでなく人類のために闘え、と説得します。

反発していたライダーマンですが、次第に使命に目覚め、最終的には東京を救ってプルトン爆弾とともに爆死(のちのシリーズで生還)、V3はヨロイ元帥とデストロン首領に最後の決戦を挑むのです。


村枝先生による仮面ライダーたちには、こういった悲愴感が余すところなく描かれています。まさに男の魂に火がつきます。


仮面ライダーの本質は、人間の尊厳を奪われた負のヒーロー像にあるとわたしは思っています。
これは、人間を超越した存在であるウルトラマンと好対照をなしています。
ウルトラマンは神に近い存在であり、変身することは神とひとつになる、喜びに満ちたことなのです。


仮面ライダーSPIRITS」のライダー2号篇には、こんな名台詞があります。

なぁ・・・信じてみねえか。
たとえ神も仏もいなかったとしても、仮面ライダーはいる・・・ってな。

仮面ライダーになるのは、人間でなくなること。
ライダーは、人々のために、自分の人間性を捨てるヒーローなのです。


・・・女性のみなさん、男はいくつになってもウルトラマン仮面ライダーが好きなものなんです。
どうか暖かい目で見守ってやってください。