今日は、珍しくひとの悪口を言います。

この本がベストセラーになっているという現実をどう思いますか。

「もっと、生きたい…」

「もっと、生きたい…」

わたしとしては、たいへん喜ばしい現象だと思っております。

なぜなら、この作者の本を楽しんで読めるという方は、それまで一冊たりとも、いや、1ページたりとも、いやいや1文字たりとも本を読んだことのない人に違いないから。これがなければ、一生の間に1文字も活字を読むことなく死んでいくという人々に、まがりなりにも一冊の本を読ませたというのはたいへんな功績です。


そして、この作者の本をきっかけに読書を始めた人がいたとしたら、その人のその後の読書は、喜びに満ちたものとなるでしょう。


なぜなら、コイツより文章のヘタクソな作家なんて世界のどこにもありえねーから、だ!


小説というものは、視点や人称が重要な要素になっています。
その文章は誰の視点から見たものなのか、その感想は誰が感じたものなのか、そういうことを抜きにして小説は書けません。

しかし、この小説にはそういうものを考慮した形跡がまったくありません。
ただ単に、出来事や人物の台詞をダラダラと並べているだけ。あらすじの説明だけで終わっています。


この作家は、生まれてから今までに一冊たりとも本というものを読んだことがないに違いありません。っていうか絶対そうだ。もう決定。反論や抗議は一切受け付けませんからそのつもりで。


・・・考えてみると、この作家の著作物は資料的価値のあるものかもしれません。
これは、カスパー・ハウザーの成長記録のようなものといえますから。

野生児の記録 3 カスパー・ハウザー

野生児の記録 3 カスパー・ハウザー

カスパー・ハウザーとは、19世紀ドイツに現れた謎の人物です。
生後17年間、地下牢に幽閉されて誰とも接することなく成長した、言葉も話せない、他人とコミュニケートできない青年。
彼が、言葉を覚え、他人と関われるように成長していった記録が、この本です。

カスパー・ハウザーの謎 [DVD]

カスパー・ハウザーの謎 [DVD]

映画にもなっています。鬼才ヘルツォーク監督のおかげで果てしなく悲惨になってますが。


まぁ、カスパーについてはその真偽を疑問視する意見もありますが。
ある意味、Yoshiという人物の胡散臭さといい勝負かもしれませんね。


ふつう、絵を描く練習をしたことのない人はマンガ家にはなれません。

ギターの練習をしたことのない人はギタリストにはなれません。

コンピューターに触れたことのない人はプログラマーにはなれません。

・・・でも、文章を書くための勉強も訓練もしていない人でも、小説家にはなれるみたいです。
ナメられたもんですな。