ゴジラのいちばん長い日

シン・ゴジラ』を観てきたんです。



シン・ゴジラ音楽集

シン・ゴジラ音楽集

ゴジラ映画の熱心な観客とはいえないワスですが、まぁ面白かったです。今回は、怪獣の登場に政府が右往左往する様子を描くのが主眼で、自衛隊の出動に必要な法整備やら、東京が蹂躙されたための経済的被害(円安、株価安の進行など)も出てくるのが新鮮でした。


従来のゴジラは、東京大空襲ビキニ環礁水爆実験がモチーフになっていましたが、今回のゴジラ東日本大震災福島第一原発事故がモチーフになっており、より現代的になっているのがよくわかります。ゴジラが海から上陸するとき巻き起こした大波で、自動車が流されていくあたりの描写は、まさに5年前の記憶を呼び覚まされるものでした。


見どころについては、これから観る人も多いと思うのであまり触れないでおきますが、政治家役の俳優がとにかくいい味でしてね。


余貴美子が演じる防衛大臣は、鳥越俊太郎瀬戸内寂聴が「厚化粧」と揶揄した小池百合子東京都知事のメイクにそっくりだし、中村育二が演じた内閣府特命担当大臣は、どこからどう見ても甘利明もと内閣府特命担当大臣にしか見えません。これだけで見る価値は充分にあります。


あと、石原さとみのものすごくわざとらしいバイリンガル喋りとか(もっとわかりやすくエロい格好にしたほうが、「日本人が勘違いしたアメリカ人女性」らしくてよかったと思うケド)、繰り返されるたびにギターのアレンジがクドくなる「ヤシマ作戦」BGMとか、笑いどころもけっこうあるのであんまり固く構えずに観てもいいと思います。音楽の使いどころに見られる、伊福部昭へのリスペクトもすばらしいし、ゴジラ映画には何のゆかりもない岡本喜八をわざわざひっぱり出さずにはおれない、庵野秀明という人の業の深さも印象的でありました。