リングサイドに花一輪を

仙台市で中学生がいじめを苦に自殺した事件ですが、地元の人々はもう学校名まで具体的に知っているにも関わらず、教育委員会は学校名どころか仙台市の何区かすら公表せず、学校側は生徒たちに「○○君(自殺した生徒)は転校しました」と虚偽の説明をして(「生徒が動揺する」という名目らしい)、いまだにいじめの事実を認めようとしていません。最近は、企業の横暴に対しては、ブラックバイトユニオンやPOSSEといった組織が立ち上がる事例もありますが、子どもたちを守る有力な団体は存在せず、遺族たちも「地域社会」の圧力になかなか動けないのが現状であります。


そんな中で、小さな抵抗が発生しました。
<いじめ自殺>中学近くに献花台 区役所は撤去求める 仙台 (毎日新聞) - Yahoo!ニュース <いじめ自殺>中学近くに献花台 区役所は撤去求める 仙台 (毎日新聞) - Yahoo!ニュース

 ◇市教委は校名非公表 誰かが21日朝設置か

 仙台市立中学1年の男子生徒が昨年秋、学校でいじめを受けて自殺した問題で、学校近くの公園に、誰かが男子生徒の死を悼むためとみられる献花台を設置した。市教委は「遺族が望んでいない」として学校名を公表せず、学校も生徒や保護者にいじめの事実を明らかにしていない。

 複数の地元住民によると、献花台は21日朝に設置されたとみられる。幅約2メートルのテーブルに白いクロスがかけられ、花束や菓子が供えられていた。テーブルの上には「守ってあげられなくてごめんね。安らかに眠って下さい」「あなたの死をムダにはしないからね」などと、訪れた人らが記したとみられる書き置きもあった。

 市教委は8月に男子生徒の自殺を公表したが、個人が特定される恐れのある情報は明らかにせず、在籍していた学校でも、いじめの関係生徒以外には「家の都合で転校した」と説明していた。

 娘が男子生徒と同級生だったという地元の男性(51)は22日午前、献花に訪れた。「学校では彼が死んだことさえ『無かったこと』にされ、手を合わせる機会も、哀悼する場所もない。誰かが人間として当然のことをしてくれた」と話した。

 一方、住民には「子どもの動揺を誘う」と献花台設置を疑問視する声もあるという。地元区役所の公園課は21日昼、住民の通報を受け、献花台そばに撤去を求める看板を置いた。担当者は「許可なく公共スペースに設置され、都市公園法に違反している。自主的な撤去をお願いしたい」と話している。【伊藤直孝】

「公園を許可なく占有している」というリクツが、在特会が京都朝鮮初級学校を脅迫したときとか、渋谷区がホームレス向けの炊き出しを弾圧したときとそっくり同じなのが、いかにも日本的な、公権力が建前という真綿でもって、国民の首を絞めることを美徳とする価値観を表現していますね。


で、「遺族が望んでないのに」という反応もあるようでしたが、地元の河北新報が続報を出しています。


いじめ自殺の遺族 献花台設置に謝意 | 河北新報オンラインニュース いじめ自殺の遺族 献花台設置に謝意 | 河北新報オンラインニュース

 仙台市立中1年の男子生徒=当時(12)=が昨年9月下旬、いじめを苦に自殺した問題で、男子生徒の父親が22日、献花台が設置された中学校近くの公園を訪れ、周辺で1人静かに手を合わせた。
 午前9時すぎ、人目を避けるように公園が見渡せる位置に立ち止まり、献花台に向かって静かに祈った。午後には関係者を通じて供物もささげた。
 父親は河北新報社の取材に「(献花台の設置を)ありがたく感じ、駆け付けた。一周忌を前に皆さまに手を合わせてもらい、息子も幸せだと思う」と話した。
 献花台の設置者は不明。近所の男性(63)が21日午前、置かれているのを見つけた。22日も花束や菓子などを手に住民が次々に訪れ、冥福を祈る姿が見られた。
 夫婦で献花した近所の男性(65)は「今もきちんと事実を公表しない市教委や学校は、いじめ自殺をなかったことにしようとしているのではないか。地元住民として、亡くなった男子生徒を悼みたい」と語った。
 献花台について公園を管理する区役所の担当課は21日、「不法占有に当たる」として、撤去を求める張り紙を近くに掲げた。設置者が片付けない場合、週明けにも強制撤去するという。

遺族の意向も明らかになりましたが、果たして教育委員会や学校はどう対処するのやら。山形では、何かにつけていまだに「マット」「マット」言われますが、仙台もよそのことは言えないなぁ。