贖罪の化身

友人に誘われて、BABYMETALの、幕張メッセ公演の映画館ライブビューイングを観てきたッス。


BABYMETAL-LTD.EDITION

BABYMETAL-LTD.EDITION


オレはアイドルってそんなにくわしくないし、最近はアイドルのドキュメンタリー映画もよくありますが、スクリーンで観たことあるのはBiSだけなんですよね。


動いて歌ってるBABYMETALを、大スクリーンでまじまじと観たのも初めてなんですが、BiSよりははるかに可愛かったですね。
とくに真ん中でメインボーカルをとる、SU-METALこと中元すず香の眼光はなかなか鋭い。
歌メロはアイドルポップスというより童謡に近く、コーラスが主体でメインボーカルのメロディーラインがそもそも存在しないような曲も少なくないようでした。この辺は、ダンスを見せることが主要目的となる曲もある、ということなんでしょう。中には多少メタルっぽい歌唱の曲もあり、悪くはありませんでした。でも「ヘドバンギャー!」とスクリームするところはちょっと弱いなぁ。


んで、ライブを一本、通して聞いてみてわかったんですが、BABYMETALって実は音楽性が定まってないというか、「メタルである」以外にコンセプトがないんですね。デスメタルっぽい曲調もあれば、メタルというよりモダン・ヘヴィネスに近いのもある。かと思えばコテコテのメロディック・スピードメタルもある、といった具合で、メタラー的には「何がしたいねん」という印象がぬぐえないのであります。


(ちなみにオレは昔から7弦ギターの音が苦手で、BABYMETALのバック演奏にはあまり親しみを感じていなかったりする)


要所要所で、スクリーンに大御所との記念撮影を映し出すあたりは、メタラー向けのクスグリとしては上出来でしょう。スレイヤー(ケリー・キングとゲイリー・ホルト)、アンスラックス(スコット・イアンとチャーリー・ベナンテとフランク・ベロ)、メタリカ(カーク・ハメット)、メガデス(デイヴ・ムステイン)のスラッシュ四天王とのスナップ、そしてメタル・ゴッドことジューダス・プリーストの威光は大いに活用しており、ロブ・ハルフォードとのスナップは2回にわたって映しだしたほか、全メンバーそれぞれとのスナップもちゃんと出してくるあたりはややしつこさすら感じるというか。メタル界でも屈指の薄い存在感を誇るイアン・ヒルや、加入五年目ながらいまだに世界中のファンから「誰だよお前」と言われ続けるリッチー・フォークナーとの記念撮影まで出す必要が果たしてあったのかどうか。

贖罪の化身

贖罪の化身



というわけで、まとめます。

  • BABYMETALは、アイドルとしてはコンセプトがしっかりしているが、メタルバンドとしては方向性がまるで定まっていない


前からBABYMETAL界隈におぼえていた違和感の正体が、やっとわかった日でありました。まぁ今日のツインギターを担当した大村孝佳にしても藤岡幹大にしても、いかにもヤングギターの教則DVDで弾いてる人らしいというか、いかにもMIジャパンの講師って感じのスタジオミュージシャンで、超上手いけどそんなに個性を前面に出すタイプじゃないからなぁ。