罪の軽重

文藝春秋 2013年 07月号 [雑誌]

文藝春秋 2013年 07月号 [雑誌]

「文藝春秋」今月号では、POSSE代表の今野晴貴氏が、ユニクロ(を運営するファーストリテイリング社)から訴訟をちらつかせて脅されていることを明かしています。ブラック企業 日本を食い潰す妖怪』の中で、「アパレル会社X」を批判したのが、ユニクロの気に食わなかったようです。
今野氏は、「文春を訴えずに一個人の私を訴えるのは、弱い者を狙う卑劣な行為だ」と怒っていますが、実は、ユニクロと文春の間にはもう一件の訴訟があります。
ユニクロ帝国の光と影

ユニクロ帝国の光と影

2011年に出た『ユニクロ帝国の光と影』をめぐって、ファーストリテイリング社は出版差し止めと2億2千万円の損害賠償を求め、文藝春秋と著者を訴えています。裁判はまだ係争中ですが、「強い相手には刃向わない」というわけでもないようです。まぁいずれにせよ、スラップ訴訟そのものではあるんですけど。


んで、有名企業のスキャンダルをゲリラ的に報じるニュースサイト「MyNewsJapan」で、こんな記事が出ています。


『ぶち殺そうか オマエ』管理部長が脅迫、店長は暴行…最高裁も認めたユニクロの“バイオレンス経営”:MyNewsJapan 『ぶち殺そうか オマエ』管理部長が脅迫、店長は暴行…最高裁も認めたユニクロの“バイオレンス経営”:MyNewsJapan
かつてユニクロで働いていた人の話です。

  • 店長のミスを指摘したところ、逆上した店長に暴行を受ける
  • 障害等級1級の認定を受けるほどの後遺症が残る
  • 労災を申請しようとしたところ、管理部長から 「いいかげんにせいよ、オマエ。おー、何考えてるんかこりゃあ。ぶち殺そうかオマエ。調子に乗るなよ、オマエ」と恫喝される(思わず『仁義なき戦い・広島死闘篇』の千葉真一で脳内再生された)
  • 暴力店長は繊維業界紙幹部の息子なので、自宅謹慎のみで懲戒なし、管理部長は上級役員に昇進

これは恐ろしい。ブラックどころかバイオレンス企業だった、という話です。

  • 社長が社員に鉄拳制裁を加える、バイオレンス企業の実例


(ちなみに、坂田亘は前田日明に制裁されたこの後、全試合終了まで延々とスクワットをさせられていたという)


何気に恐ろしいのは、暴行では何の懲戒もなかった店長が、横領では懲戒されるという対応の違いですね。
部下を殴ろうが殺害予告をしようがおとがめなしなのに、会社の金を盗めばクビというこの感覚。



おそらく、この感覚こそが、現代に蔓延するブラック企業を読み解く鍵になると思いますね。