朝の熱気の中で

「午前十時の映画祭」で上映されている『夜の大捜査線』を観に、MOVIX利府に行ってきたんですけどね。

九時四十分に劇場に着きましたら、今日は三連休の最後の日で天気は晴天、『ポケモン』に『ハリポ』に『コクリコ坂から』の上映が始まったばかりというタイミングだったもので、劇場の外まで家族連れが長蛇の列をなしてまして。そこら中でDSを持った子どもが遊びながら「ねーまだー」などと喚いているという阿鼻叫喚。炎天下に行列とかカンベンしてくれよ! せっかく東北六魂祭をスルーしたのに、名画を見るためだけに熱中症になったらどうすんだよ!

  • In The Heat Of The Night, Intro


夜の大捜査線』原題は"In The Heat Of The Night"で、原作の邦題は直訳の『夜の熱気の中で』。アメリカ南部のうだるような暑さと根強い人種差別が作品の重要なモチーフになっていますが、日本東北部でもうだるような暑さに苦しめられるとかシャレになんねえよ!


というかそれ以前に、上映時間に間に合わなそうだったので、係員に「十時からの『夜の大捜査線』観たいんだけど……」と申し出たら「ではこちらへ」と、ポケモンキッズの行列を横目に窓口まで案内してくれました。融通の利く係員で助かりました。


ミシシッピ州の田舎町で有力者が殺され、無能な警察はたまたま通りがかった黒人を意味もなく逮捕するが、彼はフィラデルフィア警察の敏腕刑事ヴァージル・ティッブス(シドニー・ポワチエ)だった。殺人の捜査経験がない署長(ロッド・スタイガー)は、ロクな謝罪もすることなく彼に協力を求めるが、互いの溝は深く……というお話はみなさんご存知のとおり。今では刑事ものに黒人は欠かせませんが、1967年当時はこれがリアルだったんでしょうねぇ。ティッブス刑事が人種差別主義者(レベル・フラッグのナンバープレートをつけた車に乗っている)たちに襲われる場面も、最近の映画なら武術指導が入って鉄パイプさばきがカリの動きになるところですが、あくまで不恰好になんとか暴力をしのぐ描写がリアルでした。容疑者が黒人労働者の「世話をしている」綿花農場主で、蘭の手入れをしながら刑事の尋問を受ける、というくだりは今となってはいささかカリカチュアライズがすぎる感がなくもありませんでしたが。あと、警官が五人ぐらいしかいないのに「大捜査線」はちょっと誇大広告だと思いました。


来週は『ロンゲスト・ヤード』なので、そちらも観にいこうと思います。

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