みちのく怪談トークライブの二日間

先週の土日は「みちのく怪談トークライブ」が山形市で開かれました。


まず土曜日は、テーマが「震災と怪談」ということで、東雅夫先生と高橋義夫先生を、荒蝦夷の土方正志代表とともに仙台にお迎えして、津波の被災地をひととおり見ていただくことに。仙台港から海沿いをずっと南下して、名取市閖上地区や岩沼市仙台空港を経て、山元町の、津波で全壊したぼくの友人宅までご覧いただきました。友人宅で、京極堂BOXが押しつぶされているのを見た東先生は、それを写真に撮って「これ京極さんに送っておきますね」とおっしゃっていました。

それから山形へ移動し、黒木あるじさん・金子富之画伯と合流。会場は旧山形県庁の山形県郷土館・文翔館で、明治時代の建物を復元した、とてもムードのある建物です。でもテーマがテーマだけにトーク内容は極めて真面目で、岡本綺堂関東大震災で被災してから江戸の怪談を書くようになった例をあげ、失われた風景やいのちへの郷愁が、幽明境を異にする世界をつなごうとするのではないか、と結論づけられました。


明けて日曜日は、山形市郊外の大型書店・戸田書店にて二日目のトークイベント。金子画伯が日本橋高島屋で妖怪画の個展を開いたときの不思議体験を聞いたり、黒木さんの女難関係を東・土方両氏がツッコミまくったり、お客さんから不思議体験を募ったりと盛りだくさんな内容でした。金子画伯の展覧会では、霊能者だという人がやってきて「この絵からはよくないものが出てきている」と勝手に除霊をされて、画伯はたいへん気分を害されたそうです。


そんな金子富之画伯の絵をご覧になりたい方は、東京の上目黒で展覧会が開かれますので、いちど足をお運びください。

  • 会場:東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル2F ミズマ・アクション

http://mizuma-art.co.jp/exhibition/1310229767.php

  • 7月21日(木)〜8月13日(日) 12:00〜18:00

(日・月・祝日は休廊)

  • 7月21日 18:00〜20:00 オープニング・レセプション開催


東先生は、「幽」編集長として各地で怪異譚を蒐集されていますが、関東以西ではそういう話に対して最初から胡散臭そうに拒絶する人が少なくないのに対し、東北では好意的に話してくれるという風土の違いがあるそうです。これはたしかにその通りで、東北人にとって怪異・怪談は生活に近いところに存在しているという実感があります。関東の人に指摘されるまで気づきませんでしたけどね。





このところ東北も猛暑でしたが、二日間、お疲れさまでした。そのうち仙台でも「みちのく怪談」イベントが開催される予定ですので、そのときもよろしくお願いします。