二度目のノーサイド

昨日は、山形市で「小説家になろう講座」を受講してまいりました。


今月の講師は、警察小説やスポーツ小説でたいへん活躍されている、堂場瞬一先生です。

二度目のノーサイド[文庫] (小学館文庫)

二度目のノーサイド[文庫] (小学館文庫)

ここ二年ほど、ほぼ月刊ペースで本を出している多作な堂場先生ですが、「書くスピードは訓練で上がりますから、皆さんもどんどんお書きください」と、とにかくたくさん書くことを薦められています。とはいうものの、堂場先生は、先月は一ヶ月で千枚以上、ノッているときは時速十枚のペースで書かれているといいますから、いったいどれだけ訓練すればその領域に到達できるのか想像もつきません。ぼくなんか、完成している文章を見ながらタイピングするだけでも追いつけるかどうかという速さです。
そんな堂場先生ですが、警察小説だけでも「鳴沢了シリーズ」「警視庁失踪課シリーズ」「警視庁追跡捜査係シリーズ」など並行して書かれているため、「混乱しませんか」という質問には「してます(笑)」と苦笑されました。今後は、シリーズ間でのキャラクターをクロスオーバーさせる試みも構想中とのことですので、それも楽しみですね。


この講座では、多くの講師が推敲の大切さを強調します。堂場先生も例外ではなく、月に一冊の本を書き上げるときは、まず半月で初稿を上げ、残りの半月で最低でも十回は推敲されるとのこと。で、十回推敲した場合、最初の五回まではだんだん分量が増えていき、六回目以降は削っていって、最終的には元どおりの分量になるといいますから、その構想力には敬服するしかありません。


ぼくなんかが真似しようとしても、いらない文章を削っていったら「そもそも書く必要あるのか」という根源的な問題にぶち当たってしまいますからね。


デビューを目指す人に向けては、「正面突破」を心がけるように、というアドバイスをいただきました。いま存在していないジャンルを開拓するのもひとつのテではありますが、存在しないジャンルには読者もまた存在していないので、デビューできたとしても先がない。ですから、いま確立しているジャンルの中で、なんらかの要素で先達の作品を凌駕することが作家として成功するための道筋だ、と堂場先生はおっしゃっています。この辺の考え方は人によるんでしょうけど、堂場先生の場合は、スポーツ小説という市場の小さなフィールドでデビューされてからの苦労がありますので、その経験がこういうアドバイスになったんでしょうね。

次回の告知

  • 日時:6月26日(日)14時〜16時
  • 会場::遊学館山形県立図書館) 〒990-0041 山形市緑町1丁目2番36号 TEL 023-625-6411

http://www.gakushubunka.jp/yugakukan/

切羽へ (新潮文庫)

切羽へ (新潮文庫)

http://www.sakuranbo.co.jp/special/narou/info.html
TEL023-628-3911(平日 10:00〜18:00)、問い合わせ専用アドレス sakka@sakuranbo.co.jp


小説家になろう講座」と銘打ってありますが、プロ志望の人でなくとも気軽に参加できる講座です。ワッシュ手作りのお菓子もお持ちしますので、ぜひおいでください。