ネタバレ注意

ニッポニアニッポン (新潮文庫)

ニッポニアニッポン (新潮文庫)

ぼくの本名はいささか珍しい苗字で、初対面の人に正しく読まれた経験がほとんどありません。病院などでもデタラメな呼び方をされ、「○○です」と言い直すことがしょっちゅうです。36年間ずっとそうしてきたのでもう慣れましたけどね。


逆に、世間に多い苗字の人には、それゆえの苦労もあるでしょうけどね。


「多い苗字」というのは地方によってかなり違いがあり、たとえば、ぼくの出身地である岩手県には「及川」さんが多いのですが、宮城県に引っ越したら、ほとんど見かけなくなりました。逆に、こちらには「大友」さんがすごく多いのですが、他の地方ではそうでもないと思います。


日本に多い苗字のベスト5は「佐藤」「鈴木」「高橋」「田中」「渡辺」だそうですが、「鈴木」は関東から中部地方、「田中」は西日本に多くみられ、ぼくの知り合いにも「鈴木」さんや「田中」さんは一人もいないという現状です。
(ネット上の付き合いで本名を知らない人の中にはいるかもしれないけど)

名字の地図―分布とルーツがわかる

名字の地図―分布とルーツがわかる

で、「鈴木」さんが多いという静岡県浜松市で、こんな催しがあったとか。
http://www.excite.co.jp/News/bit/E1298973217440.html

会場はみんな鈴木さん!? “浜松鈴木さん楽会”の交流会

乾杯の前に、自己紹介を促され、一人が立ち上がった。
「えー、では、自己紹介を。会員No.◯◯の鈴木です」
会場から笑い声があがる。“あ、しまった”という顔をしながら、名前をフルネームで言い直す。
このやり取りがなぜ盛り上がったか、会場にいなければわからないかもしれない。というのも、この場にいる皆さん、苗字が同じ“鈴木”なのである。


今回私が訪れたのは、静岡県浜松市にある『浜松鈴木さん楽会』の交流会。2010年から定期的に行われている“鈴木さん”同士の交流を図るイベントだ。
この日来ているだけでも、年齢層は大学四年生から最年長は84歳までと実に様々。彼らの共通項は苗字だけ。お互い何を話すのだろうか……。
そもそも浜松市になぜこのような会があるのだろう?


『浜松鈴木さん楽会』事務局代表であり、楽会の創設者でもある鈴木建也さん(会員No.1)に聞いてみたところ、浜松市は日本で一番“鈴木”という苗字の人が多い市だそう。なんと市の人口の約7%の56000人が“鈴木さん”なのだ!
鈴木姓が浜松に多い理由は諸説あるようだが、建也さんは長年の好奇心から自分の苗字のルーツを探り、鈴木姓の歴史を紐解いていくうちに、“由緒のあるこの苗字にゆかりある浜松で何かができないだろうか!?”と思い立ったらしい。
2010年の楽会設立記念パーティーには市内外から大勢の“鈴木さん”が集結し、大変な盛り上がりを見せたようだ。


さて、話を交流会に戻すと、自己紹介後の乾杯とともに、それぞれの名刺交換が始まり、気付けば会場のあちらこちらで話に花が咲いているようである。
同じ苗字という安心感があるのか、2時間余りの交流会は終始和やかなムードに包まれている印象であった。“がっかい”というからには、堅苦しい集まりを想像していたのだが……。


「“学会”ではなく、“楽会”ですからね。会則などといった、こちらから何かを押し付けることもありません。同じ苗字がきっかけとなって会員の方たちの交遊が広がっていく中で、自然発生的に何かが始まっていけば嬉しいですね」(代表・建也さん)


現在会員数は82人。オフィシャルブログから申し込み、年会費を納めれば会員になれる。浜松市の人限定ではないそうで、全国からも申し込めるそうだ。
会員には、もれなく会員No.入りの“鈴木さん楽会”名刺がついてくるとのこと。気になる鈴木さんはぜひどうぞ!
(小島ケイタニーラブ)

イニシエーション・ラブ (文春文庫)

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