猪木の10年戦争

プロレス・ノンフィクションを二冊いっぺんに読んでいたので、ここ数日、脳みそがプロレスで満たされていました。

ぼくの週プロ青春記 90年代プロレス全盛期と、その真実

ぼくの週プロ青春記 90年代プロレス全盛期と、その真実

子殺し 猪木と新日本プロレスの10年戦争

子殺し 猪木と新日本プロレスの10年戦争

もと「週刊プロレス」記者の小島和宏氏と、もと「週刊ゴング」編集長のGK金沢による、対称的な二冊です。


『週プロ青春記』の方は、小島記者がアルバイトとして週プロ編集部に入った1988年から、インディ団体や女子プロを担当したのちいろいろあって退社する1996年までを、彼個人の青春の思い出として描いている本。
これに対し『子殺し』は、GKが週ゴン編集長になった1999年から、歴史的失敗を収めた2003年末の格闘技イベント「猪木ボンバイエ」までを中心に、アントニオ猪木によって振り回された人々の群像を描いています。


時期的にも内容的にも、業界の立ち位置的にも、まさに対称的な本でした。


90年代前半はまさに「週プロ」と活字プロレスの全盛期で、「ゴング」派だったぼくはやや肩身の狭い思いをしていたものです。でも、小島氏の本を読むと、週プロ内部でもその権勢を危ぶむ声があったことがわかって安心しました。


ただ、ぼくが好きだった「ゴング」はGK編集長時代より前の、小佐野景浩編集長のころだったんですよね。当時のゴングは独特のアナクロニズムがよく出ていて、オールドタイマーの特集記事なんかもよく載ってたものです。GK編集長時代は良くも悪くもアクが強く、ぼくが長州力を好きでないこともあって、どうにも肌に合わない感がありました。


でも、『子殺し』の内容にはそのアクの強さがよく似合っていて、ガッツリした読み応えを味わうことができます。この本に関してはもう何日か言及するかも。