リメンバー・マイ・ラブ

昨日より続く。


うる星やつら3 リメンバー・マイ・ラブ」は、劇場版第三作として1985年に公開されました。

前作「ビューティフル・ドリーマー」が押井守監督の作家性を強く押し出した内容で高く評価されたのを受けてか、今作のやまざきかずお監督は、さらに作品世界の解体を進めます。


新開園の遊園地、友引メルヘンランドに遊びに行ったあたるたち。

しかし、謎の魔術師にあたるはピンクのカバに変えられてしまいます。


彼を元の姿に戻すため、魔術師を追ったラムちゃんは、逆にミラーハウスに誘い込まれ、亜空間に幽閉されてしまいます。


そして、ラムちゃんがいなくなった友引町には変化が。


弁天やランちゃんら宇宙人が皆いなくなり、机を放り投げていたしのぶの怪力が出なくなり、コタツネコがただの大きな猫になる。
皆が、何かが終わったことに気付いていくこのシークエンスの寂しさは、見ているのがつらくなるものがあります。


そしてある寒い夜。


まるで示し合わせたかのように公園に集まった、あたるとクラスメイトの面々。


メガネたちが持ち寄ったラムちゃんの写真を、焚き火にくべて焼いてしまいます。

面堂はつぶやく。
「愛するものに別れを告げて、ボクたちはオトナになっていくのか…」



そして、ラムちゃんの痕跡が完全に消えたことによって、この「うる星」世界では絶対ありえないはずの、彼らが高3に進級するという事態が発生。


従来の「うる星やつら」では、正月や節分、夏休みなど季節ネタはたびたび登場するのに入学式や卒業式は決して行われず、永遠に高2であるというのが基本的な設定でしたので、これは世界観を根底から覆すことです。



結局、この後あたるはひょんなきっかけでラムちゃんのことを思い出し、ラムちゃんにかけられていた呪いを解いたりとかいろいろあって結局ラムちゃんが復帰、これまでの出来事はなかったことになってメルヘンランド開園の日まで時間が逆行、またみんな高2に戻ってこれまでと同じドタバタの日常が始まる、という展開になるのですがどうもとってつけたような感じは否めません。


メガネがラムちゃんの写真を焼いたときに感じた、終わってしまった何かを取り戻すことはできませんでした。


涼宮ハルヒの憂鬱」も、ヒロインの存在がさまざまな不条理を呼び起こすという設定はこの作品と似ています。


でも、またヒロインの写真を燃やしたりするのは勘弁して欲しい。