柔道部はジョックスではありません
深町先生の「ヒステリック・サバイバー」読了しました。
- 作者: 深町秋生
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2006/11/02
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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この本読んでるとき、ちょうどこのニュースやってましたからね。
http://www22.atwiki.jp/hakuryouwwwww/
この小説では、おおまかに言って「体育会系VSおたく」という対立構造を描いているのですが、それは帯に書かれた惹句ほど単純な構造ではありません。
結局のところ、どちらも同じなんですよね。
どちらも同じように、自分たちと違う価値観を持つ集団に対し、その価値観を自分たちのそれより劣ったものとしてさげすもうとする。
ジョックスはオタクを馬鹿にする、と憤る人はよく見かける。
体育会系のやつにいじめられた、と恨み言を書いている人はよく見かける。
アイツラはオレタチを蔑む、自分と違う価値観を持つ人間を認めようとしないオロカモノだ、と断罪しようとする人はいくらでもいる。
でも、そういう自分だって他人の価値観を認められないオロカモノだ、ということに気付いている人は少ない。
アイツラにオレタチの気持ちは解らない、という人は多い。
だが、そう書いている人間が、アイツラの気持ちを解ろうとした形跡を見つけることは困難だ。
”オレタチには、アイツラの気持ちなんか考える必要もない”とでも思っているのだろう。
そうやって相手を蔑んでいることを、反省しようとする人を見たことはない。
この小説に出てくる人物たちも、ほとんどが自分の価値観に固執して他者のそれを矮小に捉えている人ばかりです。
お互いの価値観を認め合う、というのは言うほど簡単なことではありません。
いや、「認め合う」という言い方自体が、自分には相手のことを認めたり認めなかったりする権利があるという思い上がりから来ているのです。
そんな権利なんて誰にもないし、あってはいけません。
認めようが認めまいが、他人は自分と違うのだし、わかりあえない人だって確実にいる。
いや、他人とわかりあうことなんて本当は誰にもできないのかもしれない。
自分の物差しで他人を理解したつもりになるのはうぬぼれだ。
半藤誠が言う「ぼくらを侮るな」というのは、彼が言うとおり、それだけでいいことですがすごく難しいことです。
こんなことを書いているわたしだって、結局は”こんなこともわからないオロカモノ”を蔑んで書いているのだし。
…どうもいけませんね。この小説はエモーショナル過ぎますよ、深町先生。
柄にもなく、真面目に書こうとしてワケがわからなくなってしまいました。
どうにもネタ化できないので、読んでいてちょっと思いついた小ネタを脈絡なく。
- 柔道部員がいい人に書かれていてなんかうれしかった
川口くんの「好きな雑誌は『ニュータイプ』と『アフタヌーン』なんだ。だからぼくにはどれが良くて、どれが悪いだなんてわからない」という発言には「お前はオレか」と言いたくなりました。
- ゴス少女のエリカが、脳内で「ブラックラグーン」に出てくる「掃除屋ソーヤー」に変換されて困った
- 作者: 広江礼威
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2006/11/17
- メディア: コミック
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