ホラー的に正しい

  • 金曜の夜:「神の左手悪魔の右手」鑑賞。
  • 土曜の昼間:休日出勤。手当うめぇwwww
  • 土曜の夜:仙台セントラル劇場にて「トラック野郎・一番星北へ帰る」鑑賞。鈴木則文監督と握手。

そんなこんなでバタバタしておりましたこの週末。

とりあえず「神の左手悪魔の右手」感想から。


…ゆるー。


ご都合主義な展開、とってつけたようなオチ、ちゃちいプロップ、わくわくするようなゆかい凶器の数々、どれをとっても正しいB級ホラー映画のテイストに満ちています。


最近流行の「Jホラー」と言われる諸作品は、怨念や不条理を扱い、不吉さを演出することに主眼を置いていますが、今作品はそんな風潮に真っ向から反抗するがごとき80年代調スプラッターでした。

原作は「黒い絵本」。


足の不自由な娘のため、お父さんが不気味な絵本を描いてあげる…というお話です。


被害者のおねーちゃんに、ケーキを死ぬまで無理やり喰わせ続けるというのは「セブン」より早かったですね。

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映画で、ケーキを無理やり喰わされクリーミィゲロを吐かされるのはかでなれおん


結局はこの人もオノで首をはねられるのですが、この生首のブサイクさが異常。

本人はこんなに可愛いのに。



で、ヘッタクソな絵でグロい絵本を描くキチガイお父さんが田口トモロヲ


そういえばこの人、昔は漫画家もやってたんだよなぁ。

マンガ地獄変

マンガ地獄変

楳図かずお本人も、絵本作家の役でカメオ出演しています。


なんでしょこたんが出てないのか、どうしても納得いかないのはわたしだけでしょうか。
いや、たぶん本人が一番納得できないんでしょうな。



で、トモロヲさんが、前田愛渋谷飛鳥を処刑する場面でチョイスするゆかいウエポンが、釘打ち機。

よく「アンビリーバボー」とか「世界仰天ニュース」とかで、「顔面に釘が刺さってぎゃー!」みたいなんで出てくるやつですね。


ですが、これって圧縮空気で釘を打ち出す仕組みなんですよね。



トモロヲさんが持ってるやつにもエアーチューブが付いてたんですが、「それどこに繋がってんだよ!」って感じです。
「コンプレッサーどこにあんだよ!」って感じですが、その辺のゆるさがスプラッター的に正しいというか。


そして、前田愛スマートボールの打ち台にして、ヒロインの渋谷飛鳥にも打ち込むわけですが、心臓を狙った釘が全部ゆかいアイテム「壊れた携帯電話」に当たって奇跡的に助かる、というあたりはもう正しすぎて逆に間違ってるぐらいでした。


あと、この「壊れた携帯電話」が、オレの使ってるやつとまったく同じ機種&同じ色だったのにはちょっとニヤリとしました。



それからもう一つ特筆すべきは、子役の可愛らしさ&頑張り。


トモロヲさんの娘役の清水萌々子、本来の主人公の小林翼みんな血まみれで熱演しています。


とくに小林翼くんは、寝ていたらいきなりノドから血しぶきを噴き上げてみたり、ゆかいアイテム「壊れた携帯電話」でお姉ちゃんに指示を与えてみたり、パジャマのままで電車に乗ってたかと思うといきなりお姉ちゃんの死体の中から出てきてみたり、どうにもとりとめのない大活躍ぶりです。


原作を読んでもいつも思うのですが、そんなんできるんなら最初っからヌーメラウーメラ出せよ、って感じですね。


そういえばこの子も「子連れ狼」大五郎役出身なので、今後の人生が心配になってしまいます。



いちおうのヒロイン役である渋谷飛鳥は、悪しきものと戦う能力を持たないため、この映画ではほとんど「隠れる」という動作に終始しており、その辺もスクリームクイーン的に正しいという感じです。



今回の「神の左手悪魔の右手」は、亡くなった那須博之監督の遺志を継いで金子修介監督が完成させたものですが、那須監督への追悼以上に、かつてのB級ホラーへのオマージュが感じられる作品になっていました。


日本にホラービデオブームが起こった80年代でしたが、その先鞭を切るように、日本初の実写オリジナルビデオとして発売されたのが、こちらも楳図かずお原作の「うばわれた心臓」だったのをご記憶の方も多いでしょう。



欧米では「ホステル」や「デビルズ・リジェクト」がヒットしてるんだし、日本でもこういう作品がまた量産されるようになればいいんだけどなぁ。