サイヤ人とナメック星人の友情は成立するか
ちょっと前のはてな界隈では、「男女間に友情は成立するか」という話題があちこちで語られておりました。
まぁわたしには女性の知り合いがひとりもいない(ネット上は除く)ので、この問いに対して何の答えも持っていないのですが、フィクション上でよく知られた男女を一組、思い出しました。
「ドラゴンボール」の悟空とブルマです。
- 作者: 鳥山明
- 出版社/メーカー: 集英社
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悟空にとっては初めて出会った女性でもあり、その後の波乱の人生もすべて彼女によってもたらされた、ということもできるでしょう。
最終回までブルマはストーリーの中心に存在し続けており、か弱い女性でありながら、惑星を破壊するほどの戦闘力を持った戦士たちのリーダー格として女丈夫ぶりを発揮していた、「ドラゴンボール」のヒロインとしての立場を確立しています。
しかし、悟空とブルマはお互いついに一度も恋愛感情を持つことがなく、良い友人関係を数十年にわたってキープし続けました。
主人公とヒロインがずっとこの距離感を保っていたのは珍しいでしょう。
これは、男女間の友情の好例として挙げてもいいと思われます。
しかし。
悟空とブルマが友人関係を保ち続けたのは、悟空の人格上の問題によるもの、とも考えられます。
悟空は、クリリンの惨殺をきっかけにして超サイヤ人に覚醒したり、何度も仲間を救うために命を賭けていますので、ジャンプのモットーである「友情・努力・勝利」を一身に体現したかのような性格の持ち主です。
しかし、恋愛についてはまったく未熟で、チチと結婚したときも「結婚」というもの自体がまったく理解できないまま、チチに言われるがままにハネムーンに出発してしまいました。無職のまま。
この辺の、悟空の無責任さは結婚してからも変わっておらず、家庭を省みることなく、宇宙を放浪してはヘンな宇宙人からヘンな技を教わったり、息子を学校にも行かせないで自己流の修行をさせたり*1しています。
そして、悟空が妻であるチチへの愛情を口にすることは一度もなく、そもそも愛情というもの自体が理解できているのかどうか疑わしいとすら思わされます。
DRAGON BALL 完全版 27 (ジャンプコミックス)
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まずは悟飯を超サイヤ人にするため、怒りを引き出そうとします。
そのとき、「オラやピッコロがセルにやられてるところを想像してみろ」
と、悟空は言うのですが、ここでチチの名前が出てこないのはまずいでしょ。
そして、セルゲームにおいては、悟空は地球の運命を悟飯にゆだねます。
しかし、悟飯は
「どうしてボク一人にやらせるんだろう。
おとうさんはボクのことより、
正々堂々と戦うことの方が大事なのかな」
と、戦うことをイヤがります。
この悟飯の気持ちに気付いたのは、悟空ではなくピッコロでした。
ピッコロから悟飯の気持ちを教えられた悟空は、父親である自分より、ピッコロの方が悟飯のことをよく理解していたということにショックを受け、自爆しようとするセルを瞬間移動で界王星に連れて行き、セルともども(ついでに界王様も)爆発に巻き込まれて死亡します。
こうして見ると「人造人間篇」は、大人になりきれなかった悟空の悲劇ということで、ある意味「劇画・オバQ」に通じるものがありますね。
*1:どっかで聞いた話だ。そういえば亀仙流。