逆浦島現象

東北高校出身の荒川静香選手が金メダルを獲得したというので、仙台ではおおいに盛り上がり、県民栄誉賞を授与しようという話にまでなっております。

ちなみにこれまでには佐々木主浩ノーベル賞の田中さんが受賞していますが、他の県にもあるんでしょうか県民栄誉賞。なんか微妙です。


しかし、それは今日のエントリとはまったく関係ありません。



というわけで、観てきたですよ「乱歩地獄」。

火星の運河 (角川ホラー文庫)

火星の運河 (角川ホラー文庫)

芋虫 (角川文庫)

芋虫 (角川文庫)

虫 (江戸川乱歩推理文庫)

虫 (江戸川乱歩推理文庫)

これらの作品をオムニバス形式で映画化したこの作品。

眠かったです。


一本目は「火星の運河」。


そもそも原作が詩みたいなものなので、映像もシュールな短編詩のようなものになっています。
無音の映画館にひたすら映し出される浅野忠信の尻
なかなか音が出ないので、最初ちょっと上映ミスかと思いました。

普通の(音が出る)映画を見てるときは気付かないのですが、けっこう隣のシアターから低音が響いてきているもんなんですね。「ミッドウェイ」でもやってるのかと思うくらいです。

いまどきセンサラウンドって。



二本目は「鏡地獄」。


和鏡職人の成宮寛貴と関係のあった女性たちが、顔面を熔解させられて死ぬという事件が発生。
浪越警部(寺田農)と明智小五郎浅野忠信)がその真相を追います。


ほとんどのカットで画面のどこかに鏡が置いてあるという、トリッキーな画面構成。
やっぱり実相寺昭雄監督です。
寺田農メトロン星人にしか見えませんでした。


で。


成宮寛貴が作った鏡は、実は特殊な放射性物質で表面をコーティングすることによってマイクロ波を反射し、電子レンジの原理で、使う人の顔面を発熱させて溶かすという剣呑きわまりないものでした。

この事実を突き止めて、成宮を逮捕しに行く明智と警部。
しかし、成宮は内面を鏡にした球体の中に入っており、出てきたときはすでに精神に異常をきたしていたというオチ。

どう見ても「怪奇大作戦」です。本当にありがとうございました。



三本目は「芋虫」。


手足を失った傷痍軍人と妻の爛れた性愛を描いた原作。
妻は、肉塊のようになった夫を完全に自分の性具にしてしまうために、唯一残った人間的器官である目を潰してしまうというSMの究極みたいな話です。

そこに、熊谷龍平松田龍平を無理に絡めたおかげで話がガタガタになってしまいました。
あれは、二人だけの閉塞した世界で繰り広げられる話だからいいんですよ。

せっかく、誰だかわからないぐらいの特殊メイクで熱演した大森南朋が可哀相でなりません。

映画が終わって帰るとき、近くの席で見ていた女性客二人組が
「なんで大森南朋って何でもやるのかなー」
と言ってたのが印象的でした。

恐怖奇形人間」と世界観をつなげようとする仕掛けもありましたが、だからあれは閉塞した世界で(以下略

明智小五郎浅野忠信)と怪人二十面相熊谷松田龍平)の対立も絡めてありますが、だからあれは(ry



もうここまで来るとだいぶ眠くなってきています。



四本目は「蟲」。


緒川たまき演じる女優の木下芙蓉を、彼女に懸想する運転手の浅野忠信が殺害します。

この殺害にいたるまでがタルい
おんなじシーンを何回も繰り返して見せられるので、映画の中の時間軸がどうなっているのかわからなくなりました。

すでに何度か意識を失っていたわたしですが、目覚めるとまた同じシーンになっているので、もう自分が起きているのか夢を見ているのかわからなくなり、悪い意味で「うつし世は夢、夜の夢こそまこと」状態というか。


水曜どうでしょう」サイコロの旅5〜キング・オブ・深夜バス〜で、東京〜福岡間を14時間かけて走破するはかた号に乗車した大泉洋が、ビデオ「釣りバカ日誌」の釣りのシーンを観ながら眠りに落ちたものの、目覚めたらまだ釣りをやっていたという「逆浦島現象」が発生しましたが、今回のわたしもまさにこの状態でした。


しかし、緒川たまきの死体に死斑が現れているのを見つけたシーンからはいっきに現実に引き戻されます。

そこからは、原作どおりに防腐処理を施そうとして血みどろになったり、死体に絵の具を塗りたくってDMCのクラウザーみたいにしてしまったり、ブリーフ一丁で街に出て通行人に「すみませんでしたー」と頭を下げてみたり、と浅野忠信大奮戦でした。




まぁ、浅野忠信が好きな人にとってはたまらない映画だったでしょうねぇ。

江戸川乱歩ファンにとってどうか、というのはもう言わんでもわかるでしょ。