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アメリカ大統領選では、ついにドナルド・トランプ共和党候補となり、これで共和党は崩壊の危機とまでいわれていますが、太平洋をへだてたフィリピンでは、大統領選がたいへんな結果になりました。


フィリピン大統領選 ドゥテルテ氏が当選の見通し | NHKニュース フィリピン大統領選 ドゥテルテ氏が当選の見通し | NHKニュース

9日投票が行われたフィリピンの大統領選挙は開票が進み、犯罪の撲滅などを訴える地方都市の市長、ロドリゴ・ドゥテルテ氏がほかの候補者を大きくリードし、当選する見通しとなりました。
フィリピンではアキノ大統領の任期満了に伴う大統領選挙の投票が9日行われ、現在、開票作業が進められています。
現地の選挙管理委員会によりますと、日本時間の10日午前3時20分現在、開票率は88%で、得票率は、南部ミンダナオ島ダバオ市長、ロドリゴ・ドゥテルテ氏(71)が38.6%、続いて、アキノ大統領の後継のマヌエル・ロハス氏(58)が23.1%、無所属の上院議員のグレース・ポー氏(47)が21.7%などとなっています。
この結果、2位につけているロハス氏が残りの票をすべて獲得しても逆転できないことから、ドゥテルテ氏が当選する見通しとなりました。
ドゥテルテ氏は、ダバオ市で警察の権限を強化するなどして国内で最悪といわれた治安を回復させた実績をアピールし、全土で長年課題となっている犯罪の撲滅を最大の公約として掲げ選挙戦を展開しました。
また、選挙で争点の1つとなった南シナ海を巡る問題では、領有権は譲れないとする一方で、中国がインフラ整備などで経済支援をするなら話し合いで妥協点を探る姿勢も示していて、今後の政権運営が注目されます。
選挙の結果は議会の承認を経て正式に確定し、ドゥテルテ氏は来月30日に大統領に就任する見通しです。


ロドリゴ・ドゥテルテの、ダバオ市長時代の「治安を回復させた実績」については、こういう見方も。


http://www.jiji.com/jc/article?k=2016051000077&g=int

検事出身の「ダーティハリー」=ロドリゴ・ドゥテルテ次期比大統領

 フィリピン南部ダバオで20年以上にわたって市政を担い、強硬な治安対策から米刑事映画の主人公「ダーティハリー」にも例えられる。こわもてな一方、「涙もろい人情家」(選対幹部)との評も。同性婚に理解を示し、リベラルな一面も併せ持つ。


 中部レイテ島生まれ。南部の州知事も務めた法律家の父と教師の母を持ち、幼い頃にダバオに移った。大学卒業後はダバオ地検の検事として約10年働いた後、政界に進出。1988年にダバオ市長に就任し、下院議員などを挟み通算7期22年務めた。
 市長時代は、主要商業施設への防犯カメラ設置や、警察装備充実などの治安対策を実施。犯罪で悪名高かったダバオを全国有数の安全な都市にした実績を持つ。ただ、こうした「市政浄化作戦」の陰で「処刑団」を率い、薬物犯ら1000人以上を「超法規的に」殺害した疑惑も付きまとう。
 人情家の一面も。7000人超の犠牲者を出した13年の比中部台風では、地元ではないのに真っ先に現地に駆け付け支援を約束。「神はわれわれを忘れた」と所構わず涙を流した。(2016/05/10-06:53)

このね、ドゥテルテの異名「ダーティハリー」ってよく言われてますけどね、やってることを見ればむしろ『ダーティハリー2』の敵ですよね

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映画だったらハリーに倒されるはずの、独善的な正義で超法規的処刑を繰り返していた人物が、大統領にまで登り詰めてしまうのだから、恐ろしい話です。ドゥテルテの私兵集団「ダバオ・デス・スクワッド」は、バイクに乗って現れるところから『ワイルド7』に例えられることもありますが、こうなってしまうとむしろ、独裁者になろうとする敵が日本にクーデターを起こすために自衛隊内部に育成した私兵集団と戦う、『ワイルド7』最終話「魔像の十字路」みたいな話ですね。

ワイルド7 48巻

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