うちの子になりなよ

古泉智浩さんの『うちの子になりなよ ある漫画家の里親入門』を読んだッス。

うちの子になりなよ ある漫画家の里親入門

うちの子になりなよ ある漫画家の里親入門

里親として赤ちゃんを預かった古泉さんの、育児日記(生後5ヶ月から1歳2ヶ月まで収録)と、4コマ漫画。それから、古泉さんが里親という選択をするに至った経緯や、不妊治療のたいへんさ、里親制度についての解説などをまとめた本であります。赤ちゃんのいる生活について、古泉さん独特の克明な文体でつづる日記は味わいがあるし、里親という制度についてはぼくもよく知らなかったので、勉強になりました。「里子」と「養子」は制度が別で、

  • 里子
    • 親権は実親のもので苗字も実親と同じ、養育権のみ里親のもの
    • 養育費は行政から補助が出る(ちょっとしたフリーターの給料ぐらい、とのこと)
    • 実親が引き取りを希望した場合は児童相談所が審査して決める
  • 養子
    • 親権も養育者に移行し、苗字も養育者と同じになる
    • 実子と同じ扱いなので、養育費はふつうの児童手当ぐらい


こんな違いもあるんですね。この辺はまったく知りませんでした。里親になるためには児童養護施設で子どもたちと過ごす研修があるのですが、そこでは、子どもたちとの別れ際に「またね」と言ってはいけないそうです。次の約束や、施設の外で会うことは禁止されているというのが実に切ない話であります。


古泉さんが子どもを持ちたいと思うようになった心理も書かれていて、「厄年を過ぎると自分本位の生き方がしんどくなる」「自分の満足では自分が満足しきれない」とのこと。古泉さんがそう思ったのが、ちょうどいまのぼくと同じ年ぐらいのときなんですよね。生涯結婚もせず子どもも持たなかったぼくとしては、自分の先行きがちょっと心配になるところではありますが、まぁそんなふうに考えても詮ないことです。日本社会はこれからますます少子化が進んでいくでしょうから(希望出生率1.8にする、とか寝言ほざいてる田吾作もいるみたいだけど)、せめて少ない子どもたちを社会全体が大切にするようにはしてほしいですね。