迷路荘の惨劇
愛知県で、なんとも薄気味の悪い殺人事件がありました。
http://www.asahi.com/national/update/0902/NGY200809010007.html
首にワイヤ、クレーンにつり下げ 愛知・一宮
愛知県一宮市大赤見の金属加工会社「仲孝(なかたか)工業所」工場内で1日午後9時すぎ、同社経営仲島孝治さん(57)が、ワイヤを首に巻かれてクレーンにつり下げられているのを長男(19)が見つけ、119番通報した。仲島さんは病院に運ばれたが、死亡が確認された。県警は、殺人事件と断定し、一宮署に捜査本部を設置した。
捜査本部によると、クレーンは工場の中央にあり、電動スイッチで操作するタイプで、発見時はJ字形のフックが地上から約1.7メートルの高さでとまっていた。そのフックにかけられたワイヤが仲島さんの首に二重に巻かれており、足が地面につくかつかないかの状態でつるされていた。仲島さんの頭と顔に数カ所、鈍器で殴られたような跡があり、多量の出血があったものの、現場には争った形跡はなかったという。
外出中の長男の携帯電話に午後9時前、聞き覚えのない男の声で「工場に来い」と連絡があった。長男が工場に駆けつけた際、入り口は無施錠で、工場内の電灯はついていたという。
仲島さんは工場隣の自宅で母と2人暮らし。すぐ近くの別宅に妻と長男、妻の母が暮らしていた。
従業員は男性が1人おり、長男も仕事を手伝っていたという。この日は、従業員は午後に帰宅し、仲島さんと長男は午後4時ごろにいったん仕事を終えた。その後、長男は外出し、仲島さんが再び1人で作業していたという。
これはすごいなぁ。わざわざ息子を呼び出すあたり、かなり深い怨恨を感じさせますね。
クレーンで吊るすという手口は、なんというか、テレ朝の刑事ドラマ・サスペンス番組を思わせるものがあります。
『太陽にほえろ!』とか『Gメン'75』じゃなくて、『特捜最前線』のセンスね。
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しかし、なぜクレーンで吊るす必要があったのでしょう。
ミステリ的な発想でいうと、犯罪者の行為には何らかの必然性があるものですから、犯人には、クレーンを選ばなければならない事情があったはずです。
ぼくが思うに、きっと犯人は片腕の男ですね。
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この『迷路荘の惨劇』では、二十年前の惨劇により片腕を失って行方をくらました尾形静馬を思わせる、片腕の男が現れたことにより、新たな事件が始まります。
そして、静馬と因縁深い古館元伯爵は、後頭部を鈍器で一撃された上に、滑車仕掛けのクレーンで首を吊るされ、死体を馬車の上に乗せられて発見されるのでした。
金田一耕助ものでは、『獄門島』でも「片腕の人物による絞殺」という不可能犯罪のトリックが出てきますが、『迷路荘の惨劇』ではさらにもう一ひねりしたミスディレクションが仕掛けられており、地下迷路でネズミに食い荒らされた死体という残酷趣味もあったりして、読みごたえのある作品でした。
それにしても、横溝正史は「静馬」って名前が好きすぎる。
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戦前に書かれた由利麟太郎ものの『仮面劇場』にも静馬という人が出てくるし、『犬神家の一族』は言うまでもないし。こんな名前、横溝正史の小説でしか見たことないぞ。
と、思ってたら。
いま「静馬」でググってみると、『犬神家の一族』より、『ストロベリー・パニック!』に登場する、花園静馬という美少女が先に出てきてしまうんですね。
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まぁ、横溝正史も百合は好きだったし。