消しゴムで書いた落書き
ネット上などで都市伝説をいろいろ見ていくと、
- 怪異というものは、主として異界との境界で起こる
- 怪異をもたらすマレビトは、異界からやって来て異界へ去っていく
という、古い民俗学の原則が今もって生きていることを感じさせられます。
たとえば、かつて80年代の東京では「白いローレルの男」という伝説が、女子高生の間で囁かれていたといいます。
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似たような話として、関西圏では「六甲おろし」という話もあります。
六甲山中に車で連れて行かれた女性が、車中で男から関係を迫られ、拒むとそこで置き去りにされるというもの。
いずれにしても、東京の端にある八王子、神戸の端にある六甲山、そして異界との越境を容易にする自動車、という舞台装置が揃っています。
こういった、異界から現れるマレビトへの恐怖を具現化したものとしては「オルレアンのユダヤ人」や、そこから派生したと思われる「だるま女」が有名です。
関東大震災での「井戸に毒を入れる朝鮮人」というのも、これが最悪のカタチで現れた都市伝説だったといえるでしょう。
また、クルマにまつわる都市伝説としては「10万円のソアラ」というのも一時流布していました。
群馬県の中古車店には、新車同然の白いソアラが10万円で売られている。
このクルマは、かつてカップルが乗っていたとき、サンルーフから頭を出していた女性が、看板に頭をぶつけて首がもげてしまったといういわくつきのシロモノだ。
これまでに何人もの手に渡ったが、みなすぐに手放してしまう。
女のうめき声が聞こえたり、誰もいないはずの助手席に女の姿が浮かび上がったりする怪奇現象が起こるためだ。
そのため、値段はどんどん下がり、今は10万円にまでなったが、買い手はつかないという。
中古車というのも、見知らぬ人間が行きかった一つの異界ということが出来ます。
そこに、首チョンパという残酷味を加えたこの話ですが、これには後日談がついたバージョンもあります。
というもの。
東京の人から見れば、伊奈かっぺいというのは異界からやってくるマレビトなんでしょうね。
ただ、ここには、伊奈かっぺいを「ダマされやすい純朴な田舎のおじさん」と思い込んでいる東京人の勘違いがみられますが。
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ダマされてオバケの出る車を売りつけられるどころか、自分からすすんで買ってネタにしそうだと思うんですけどね、東北人の感覚でいうと。