ハエテルベリーに会いにいく
このところ紀里谷和明がずいぶんテレビに出ていますが、ひさしぶりの監督作『ラスト・ナイツ』がいま公開中なので、そのプロモーションに余念がないようです。日本人監督がハリウッドに進出した例としては、北村龍平や清水崇がいますが、撮り続けるのはなかなか難しいようなので、キリヤンもずいぶん厳しい道を選んだものだと思います。
んで、サイバーエージェント運営のバイラルメディア(写真の無断盗用で有名)、Spotlightにて紀里谷和明インタビューが載っておりました。これがまた実に香ばしい案件なんだ。
「日本では内戦が起きてる」圧倒的な迫力に言葉を失った紀里谷和明氏インタビュー
紀里谷:断言してもいいけど、いま日本国内では内戦が起きていると言えますよ。
どういうことかというと、“がんばって行動する人たち”と“しないヤツら”の内戦。“何かに情熱を傾ける人たち”と“それをバカにするヤツら”の内戦。インターネットが普及して以降、ここ10年くらいに起こった日本の衰退は、“ヤツら”のほうに耳を傾けすぎてしまったことによる衰退だと思いますね。
これをしたら、なんか嫌なこと言われるかもしれない、デメリットがあるかもしれない、炎上しちゃうかもしれない…。そうやって耳を傾けすぎて、姿の見えない第三者の言いなりになってる。でも、そいつらは誰なの?なんなの?
実際にそいつらの住所をつきとめて会いに行ったとしたら、きっと笑い転げると思いますよ。こんなくだらないヤツらだったのかって。こんなヤツらの言うことを気にして真に受けてたのかって。
いい加減、目を覚まそうよ。そういうヤツらは、一体何人いるの?人数としては、すごく少数だと思うよ。そんな少数のヤツらのせいでどれだけの人たちが苦しんで、どれだけの人たちの夢がつまれて、どれだけの人たちが傷ついてるんだよ、って話です。
――紀里谷さんがTwitter等で悪口を言ってくる人に対してリプライを返すことがあるのは、そのような考えからですか?
紀里谷:うん。それが風潮になればいいよね。
悪く言うのはいいよ。何を言ったっていい。でも、その言ったことについてはしっかりツッコまれるっていう風潮ができればいいじゃないですか。それが匿名だとしても、言ったことに対しては責任をとらされる。
よく、『あんな悪口、放っておいたほうがいいですよ』って言われるんだけど、放っておくからこういう社会状況になるわけですよ。
いまや、少数である“ヤツら”の攻撃が10年かけてネット上を飛び出し、社会全体にボディブローのように効いちゃってる。テレビでもクレームや炎上を気にしてやりたいことや面白いことができないし、会社の会議の席でも思ったことが言えなくなってる。笑われるんじゃないか、変な質問だと思われちゃうんじゃないかって。
そんななかで、どうやってイノベーションを生み出すの?そんななかで、どうやってみんなが笑える社会をつくるの?誰も得をしないし、誰も幸せにならないよね。そういう風潮が、どれだけの弊害を作り出したか…。経済効果でいえば、何千億円何兆円レベルの悪影響だと思いますよ。
――“物言わぬ支持者”は、もっとたくさんいるということですか?
紀里谷:そうだし、その“物言わぬ支持者”が黙りこくってるからこうなっちゃうわけじゃないですか。駅で殴られてる人がいて、それを知らんぷりしてるようなものですよ。放っておけばいいでしょって。でも、本当に放っておいていいの?
これね、キリヤンがここで言ってる理屈自体は別におかしくないんだけど、この人の場合、「“何かに情熱を傾ける人たち”と“それをバカにするヤツら”」ってのが、そのまま「“俺様の『CASSHERN』や『GOEMON』を絶賛した人たち”と“それを酷評したヤツら”」だ、ってのがどうしようもなく透けて見えるんだよなぁ。
テレビの「しくじり先生」で有村昆をやり玉に挙げてたときもそうだった(町山智浩と柳下毅一郎じゃないあたりが茶番感あった)けど、この人は自分の作品への酷評をそのまま、自分の人生観への否定だと取る節があるんですよね。で、最大の欠点である「登場人物が突っ立ったまま自分の考えを述べるだけ」という指摘にも、「そういう映画が悪い、というのは古い世代の思い込みだ」みたいなことを言い返すからまたタチが悪い。
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紀里谷:自分の目的は何なのかといえば、単純な話で、“自分のつくりたい作品をつくりたい”ということ。そういう、きわめてシンプルなところからすべてがきてます。映画監督になりたいとか映画監督と呼ばれたいとかじゃない。いま現在の自分のつくりたいものの表現方法がたまたま映画なだけです。
とにかく、自分のつくりたいものを世界中の人たちと一緒になってつくりたい。そしてそれをひとりでも多くの世界中の人に見てもらいたい。それだけ。その一点です。
この辺からもわかるけど、この人は「作品をつくってる俺様」にしか興味ないんでしょうね。面白い映画を作る、なんてことにはビタイチ興味ないとしか思えない。まぁトム・クルーズもそういう人で、どの映画も『トム・クルーズのオレって最高!』でしかないんだけど、まだトムのほうがいい作品にはなっていますよね。
インタビュー中では、自分がいかに頑張って情熱を持って仕事してるか、というのをやたら強調してるんだけど、そんなこと言ったらエド・ウッドだって映画への情熱は誰にも負けなかったじゃないの。
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芸術家というのは、どんなに頑張っていようと、どんなに情熱があろうと、1日に何時間仕事をしていようと、関係ありません。作品の出来栄えがすべてです。そこに「俺はこんなに頑張ってるんだから、頑張ってないお前らが批判するな」なんて理屈を持ち込むのは、芸術への冒涜でしかないんです。
それにしても、このインタビューの全篇を通して、いつかどこかで見た誰かに似ている気がするんだよなぁ。
……そうだ!
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これから当ブログでは、髪がふさふさなキリヤンのことを「ハエテルベリー」と名づけることにします。
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