禁断のバンアレン特訓場
ぼくはスーパー銭湯のたぐいが大好きで、サウナや岩盤浴もよく利用するんですが(健康に効果があるとは思っていないが、ストレス解消にはなる)、埼玉の施設にはこんなのがあるようで。
スーパー銭湯の減圧室で男女2人死亡 埼玉・ふじみ野 - MSN産経ニュース
28日午後5時半ごろ、埼玉県ふじみ野市大井のスーパー銭湯「真名井の湯大井店」で、室内の気圧を下げる「減圧室」にいた客の男性(65)と女性(58)=いずれも同県富士見市=が倒れているのを従業員が発見、119番通報した。2人は病院に搬送されたが間もなく死亡した。東入間署は司法解剖で2人の死因の特定を進めるとともに、事故の可能性があるとみて調べている。
同署によると、減圧室は「パスカル健康房」と呼ばれ、約5年前に設置。8人がけのいすがあり、気圧を高度3500メートルと同程度まで自動的に減圧する。約45分後に自動的にドアが開く構造で、新陳代謝や血行促進の効果があるとされる。
2人は同日午後4時から2人だけで同室に入っていたが、45分を過ぎても出てこないことを不審に思った従業員が室内を確認したところ、倒れていたという。従業員によると、ドアは閉まったままだった。同日は2人の前に5〜6人の客が減圧室を利用していたが、異常はなかったという。
なんでそんなものがあるんだ。
マラソンランナーとかプロボクサーが、標高の高い土地でトレーニングして心肺機能を強化することはありますが、45分間だけ低圧にしても健康に効果があるとは思えません。それどころか、高山病の危険もあるでしょう。とはいえ、45分の減圧でいきなり2人も死亡するというのも不自然なので、設備が何らかの誤作動を起こしたか、あるいは亡くなった人に持病があったのか、などなど何か原因があるように思います。
それにしても、減圧室というと『007 消されたライセンス』とか『黒い太陽731』などの映画を連想しますよねえ。
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身体を強化するための減圧室、ということで『ドラゴンボール』に出てきた精神と時の部屋を連想する人も多いようですが、ぼくは『アストロ球団』のバンアレン特訓場を思い出しましたね。
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この特訓場は、球団創設者のシュウロが「全身バラバラになって野球生命を絶たれる」として使用を禁止していたほど危険な施設なのですが、じゃあなんでそんなものを作ったのかというツッコミを入れる人には『アストロ球団』は向いていません。
この特訓場は「海底何百mかに潜っているのと同じ重力を与える」「並の人間なら血管がズタズタになり、全身脱水症状を引き起こして30分ともたない」などと解説されていますが、この解説に科学的意味を持たせる必要はないでしょう。作者はほかの場面でも重力と圧力を混同しているので、たぶん理科は苦手だったんだろうと思います。
この過酷な環境下で、球五は重さ100キロの鉄バットを用いて三週間、ひたすらバッティング練習に明け暮れます。「口、鼻、目、耳、そして前身の汗腺から血をふき出し……吐き気を繰り返し脱水症状になやまされ……そして孤独になやんだ」という苦しみを乗り越え、出てきた球五は100キロの鉄バットも万年筆ていどの重さにしか感じられないほどパワーアップしており、試しに打撃練習をしたところ、ボールは300メートル先の壁にぶつかってあとかたもなく消えるほどになったのでした。
こうして編み出した「バム打法」(くらえーっ、と叫ぶだけでとくに変わった打ち方はしない)を武器に、ビクトリー球団との試合に臨んだ球五でしたが、早々に球三郎の兄である伊集院大門の拳法攻撃を受け、肋骨がズタズタにへし折られる重傷を負い戦線離脱に追い込まれるのでありました。
やっぱり、急激な気圧の変化は身体によくありませんやね。