俗流徴兵論のゆくえ

集団的自衛権容認が閣議決定されて以来、今度は徴兵制復活についてよく話題に上がるようになりました。


ネット上ではこの辺とかね。

【老害】若者の根性を叩き直すために徴兵制を!【精神論】 - Togetterまとめ 【老害】若者の根性を叩き直すために徴兵制を!【精神論】 - Togetterまとめ


ミリオタ系の人はよく「現代において徴兵制は非合理的だから導入はありえない」と言いますが、俗流若者論の一環で「軟弱な若者を軍隊で鍛え直せ」みたいなことを言う人も、昔からいます。この辺とかね。


徴兵制の復活を公言する11人 - NAVER まとめ 徴兵制の復活を公言する11人 - NAVER まとめ


実際に徴兵制が導入されるかどうかはともかくとして、どっちのまとめで挙げられてる人たちも、軍隊ってモンをあまりに特別視しすぎじゃないのかな。


「軍隊(自衛隊も含む)で厳しく教育すれば若者が強くなる」みたいなことを言う人は後を絶たないけど、公権力による教育ってことなら、義務教育で何年もやるでしょう。行進の練習でもわかるように体育教育と軍事教練は切っても切れないし(よくテレビでやる、日体大の「集団行動」なんて、スゴイとは思うけど同時に吐き気がするほど気持ち悪い)、道徳教育だって今までもずっと行われてきました。


軍隊教育を賛美する人たちは、これらの学校教育は甘っちょろくて不充分だ、とでも考えているんでしょうけど、現代の教育が戦前の軍隊に比べて甘いのは、憲法にもあるように、基本的人権を尊重するという建前が、日本社会に定着したことも大きな理由のひとつです。


今のところ、憲法解釈が変更されたのは集団的自衛権だけで、基本的人権の尊重についてはまだ俎上にあがっていません。
(時間の問題かもしれんけどね)


しかし、軍隊ならば現代の日本社会では許されないような「厳しい教育」も、すなわち人権侵害も許されると考えている人が多いようです。

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(社会的に許されなかった厳しい教育の例)


軍隊だって社会の一部であり、法律や社会通念がまったく通用しないところであってはならないと思うんですけどね。
現在の自衛隊や各国の軍隊で、それが守られているかどうかは別として。





要するにですね。
「徴兵制で若者を鍛えろ」と言っている人は、言外に「軍隊は何をやってもいいんだ、戦争なら何でも許されるんだ」と表明しているのと同じなんですよ。
徴兵制復活を容認する人たちと、自国の戦争犯罪を矮小化/相対化したがる人たちの層が、少なからず被っているのも、この考え方が根底にあるからだと思いますね。


そう考えると、いまの政権が徴兵制復活へ意欲を燃やす可能性は、けっして低くないってことだろうなぁ。



本当に若者を鍛えたいんであれば、徴兵制なんかより、極真空手を義務教育にするべきだと思いますね!

松井館長を見ればわかるように、えげつないビジネスセンスも身に付きます! ただし協調性という点には大いなる疑問符が付くけど!
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