リングの外はガチ

5月29日に、全日本プロレススーパー・ヘイト選手(本名/平井伸和、父も元プロレスラーの故ミツ・ヒライ)が試合後に倒れ、急性硬膜下血腫で開頭手術を受けるという事案がありました。


マスコミ発表によれば、意識は回復しないものの自発呼吸は復活し、親族の呼びかけには反応しているとのこと。まだ予断は許されませんが、とりあえず一命は取り留めたようです。


過去にも、プロレスラーがリングで頭に衝撃を受けたことにより重大な事故に至った例はいくつもありますが*1、今回「事故」でなく「事案」と書いたのは、どうもキナくさい展開を見せてきたようなので。


http://www.nikkansports.com/battle/news/p-bt-tp0-20110602-784539.html

TARUがヘイトに暴行 刑事事件発展も

 全日本は1日、5月29日の神戸大会の試合後に急性硬膜下血腫で開頭手術を受けたスーパー・ヘイト(41=本名・平井伸和)が、試合前の控室で暴行を受けていたことを発表した。内田雅之取締役(49)と、スーパー・ヘイトが属する悪役軍団ブードゥー・マーダーズ(VM)の総帥TARU(46)が都内で会見し、TARUが試合前に暴行したことを明かした上で、無期限出場自粛を申し出た。


 5月の九州シリーズで起きたビジネス上のトラブルが原因で、2人は神戸大会の試合前の控室で口論となり、TARUがスーパー・ヘイトを数発殴打した。関係者が止めに入り、とりあえず和解。関係者の「試合はできるか」の問いに、スーパー・ヘイトは「大丈夫です」と答えたという。KENSOと対戦し、TARUもセコンドについた。だが、試合後に体調不良を訴えて嘔吐(おうと)、病院に搬送されて緊急手術を受けた。


 TARUは「結果的にこうなってしまった。殴った後に和解してセコンドにもついたのに。チームリーダーとして責任を感じている。深く反省しています」とうなだれた。控室に一緒にいたVMのKONO、MAZADA、稔らが手を出したかについて、TARUは「興奮して、何も覚えていない」と説明。会見後はスーパー・ヘイトのお見舞いと親族への説明のため神戸に向かった。


 現在、スーパー・ヘイトは自力呼吸はしているが、意識は回復していない。全日本はTARUの出場自粛の申し入れを受け入れ、取締役のカズ・ハヤシらが現場にいたレスラーたちにも事情聴取をしている。内田取締役は「TARUの行為が直接的な原因かはまだ定かではない。もし決定的になれば、我々の(レベルの)話ではなくなる。慎重に判断したい」と話した。試合会場の所轄の兵庫県警葺合署は「その事案自体を認識していない」というが、状況次第では刑事事件に発展する可能性が出てきた。

これはおだやかでないですね。ドレッシングルームでの暴行、というとプロレスにはよくあるアングルではありますが、TARUとヘイトは仲間であり、この日も仲間割れアングルなどは仕掛けられなかったようなので、リンチの可能性があります。これから試合をするレスラーの頭部を殴打する、というのは悪質だと言わざるを得ません。加害者側リーダーであるTARUの証言も、仲間をかばっているようなニュアンスが感じられて不穏です。

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全日本プロレス所属ではなくフリーランスであるTARUにとって、無期限出場自粛というのは事実上の解雇といってもいいでしょう。ちなみにTARUは、昨年12月に、場外乱闘の巻き添えで重傷を負った観客の女性から、全日本プロレスと対戦相手でもある武藤敬司社長ともども、約4400万円の損害賠償を求める訴訟を起こされています。民事に加えて刑事でも大きなトラブルを抱えるとあっては、業界にいられなくなっても無理はないでしょうね。


この事件にはおそらく、表ざたにならない裏事情がいろいろとあることが予想されますが、この業界は角界にも負けないほど閉鎖的でキナくさいところですから、あまり深く追求はされずに終わる可能性が高いですね。何にせよ、いまは平井の快復を願ってやみません。