暗黒大陸じゃがたら
最近のネットにおけるアグネス・チャンの扱いはどうも気に入らないものがあります。
たしかに、表現規制をめぐる彼女の発言にはカチンときますけど、彼女が活動している日本ユニセフ協会を詐欺だなんだと批判する人たちが国連ユニセフに寄付しているとも思えないし、「日本より中国の人権侵害をなんとかしろ」というのも筋違いな話です。「豪邸を処分して全財産を寄付してから募金をつのれ」なんてのは愚の骨頂。慈善活動というのはそういうものではありません。
そんなアグネスが、twitterで表現規制反対派の人たちとやりとりをしていたのを、まとめたのがこちら。
【児童ポルノ問題】アグネスの逆襲、そして炎上 (2010.5.7) - Togetter
あったことを、ありのままに…
(ただし、応答が成立している部分は時系列をいじってまとめています)
簡単な経緯)
・アグネスが反対派のつぶやきに初めてRTして反論
・案の定、炎上
・突然、アグネスが反対派のつぶやきを大量に公式RTしはじめる
まぁアグネスの発言は例によって根拠薄弱なものがありますが(児童が被害者となる性犯罪は減っているのに、なぜか「増えている」と言い張っている)「お前はなに人なんだ!」「宗教はなんだ!」「チベットを守れ!」と高圧的に出ている人たちの何様感がすご過ぎて、レイシストの醜さばかりが強調される結果になっています。
で、このまとめの冒頭では、アイコンに日の丸を付けているユーザーが、アグネスがソマリアを視察してきたのを「ソマリアじゃなくてソマリランドでしょ? 嘘ついたんでしょ?」と迫っています。この「ソマリア≠ソマリランド」というツッコミはネット上に溢れており、アグネスを攻撃する人がよくネタにしています。
ソマリアの国名をめぐる問題は複雑で、19世紀末から20世紀前半には、北部を「イギリス領ソマリランド」南部を「イタリア領ソマリランド」として分割統治されており、1960年には南北統合され「ソマリア民主共和国」として独立しますが、1980年代になると反政府勢力が武装しソマリア内戦が起こります。この内戦は泥沼化し、1990年代には国連と米軍も介入して激しい市街戦が繰り広げられました。リドリー・スコット監督の映画『ブラックホーク・ダウン』はこの1993年の市街戦、通称「モガディシュの戦闘」を題材にしています。
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アグネスが行ったのもこのソマリランド政府の支配地域でしたが、ソマリアよりは安定しているとはいえ、こちらもソマリアからの独立を宣言しているプントランドとの領土紛争を抱えていたり、野党が優勢となった下院を軍が制圧したりと政情には不安があります。決して観光気分で行ける国ではないようです。
それにしても、「ソマリランドはソマリアじゃない! アグネス嘘つき!」という情報がネットには溢れているというのに、ほんの1ヶ月前には「ザイール大使館員付き添いで子ども手当200人分請求!」という話で盛り上がってたのはどういうわけなんでしょう。
みんなアフリカに詳しいのか詳しくないのか、ハッキリしてくれよ! レイシズムを発揮するときだけ都合よく持ち出して、日の丸アイコンで発言するのがキミたちの愛国なのか?
21世紀になっても、アフリカに対するイメージは『アストロ球団』の時代からあまり進歩していないようですね。
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