スバラ式世界

本日は、昨日に引き続いての受講。山形市に移動し、「小説家になろう講座」を受けてまいりました。講師は作家の原田宗典先生です。

スバラ式世界 (集英社文庫)

スバラ式世界 (集英社文庫)


この講座は、通常は前半と後半に分けて前半はテキストへの講評、後半は講師へのインタビューという構成になっているのですが、今回は原田先生のフリートークを中心として、ひたすら拝聴するという内容になりました。


貴重な原田先生の自筆原稿(筆ペンで書いている)や、森鴎外記念館で売られている鴎外の遺言書(複製)を回覧させるなど実にフリーダムな進行でした。


原田先生は、キャリア初期からワープロで原稿を書き始め、業界でもかなり早いほうだったそうですが(原田先生より早かったのは安部公房だけ、とも)35歳のときから手書きに変えたそうです。


原田先生は「小説家はかくあるべし」というイメージを若いころからずっと持っていて、そのセルフイメージに近づくべく研鑽してきた人なので、ワープロで書くというのはそのイメージにそぐわなかったんですね。


イメージだけでなく、手書きだと推敲したときにどこをどう直したのかすぐわかるので、細かなチェックができるという利点もあります。パソコンだと、変更履歴をいちいちぜんぶ保存していられませんからね。


ブログでも、「手書きブログ」ってのもありますがこれは主に絵を描くためのサービスのようで、ちょっと違いますね。


http://pipa.jp/tegaki/


他にもグッとくるエピソードを聞かせていただきました。

  • 満月の夜には、”降りてくる”確率が高い。毎年はじめにカレンダーに満月の日を記入し、五年がかりで身をもって実証した。だが最近は、いざ満月になると浮かれて遊びに出かけてしまう
  • 『スメル男』の題名は、担当編集者から「『スルメ』と間違われませんか」と言われたが、実はそれが狙いだった。間違いでもインパクトのある題名にして、あとで正しく覚えなおせばより印象が強くなる。実際、朝日新聞の書評で取り上げられたときは「スルメ」と誤植され、翌週に訂正記事が載り、二週連続で取り上げてもらえた

スメル男 (講談社文庫)

スメル男 (講談社文庫)


今回もサインをいただきました。最新作『小林秀雄先生、来る』は、2003年と2008年に上演された演劇をもとにした戯曲です。ただいま絶賛発売中。

小林秀雄先生来る

小林秀雄先生来る