炎上案件の行き着くところ

例の長谷川豊問題について、コラムニストの小田嶋隆氏が、日経ビジネスの連載で取り上げています。


病床からの本音を述べたい:日経ビジネスオンライン 病床からの本音を述べたい:日経ビジネスオンライン


骨折して入院中だという小田嶋氏ですが、抑え目な筆致ながら、かなり真剣に怒っていることが伝わってくる文章です。長谷川を批判する人のうちには、「表現が悪い」と指摘する人も少なくないんですが、小田嶋氏はそんな問題ではない、と切り捨てています。

 長谷川豊氏が、上品な書き方をしないのは、彼が上品な文体を運営する能力と技巧を身につけていないからだ。そして、このこと自体は、たいした問題ではない。

 問題は、彼の考え方そのものの中にある。
 どういうことなのかというと、書き方が悪いのではなくて、書いている内容が致命的に陋劣なところが彼の文章の唯一の問題点だということで、これは、添削では改善することができない。

 長谷川豊氏の文章の欠点は、言葉の選び方にではなく、彼自身のものの考え方の根本に宿っているところのものだ。であるから、誰がどんなふうに推敲してみたところで、決してマトモな文章に改めることはできない。腐ったケーキはトッピングのフルーツを替えても腐ったままだし、包装を改めても切り方を変えても食べられるブツにはならない。あたりまえだ。

(ケーキはしっかり分量をはかって、衛生的な環境で焼いて、なるべく早めに食べよう!)



そして、長谷川個人の問題よりも、その暴論に同調する人間が少なくないことを憂慮し、最後のほうではこうシメています。

病人に対して、誰が、どういう責任で「あんたは生きていい、あんたは死んでいい」と指差し確認をするのか、落ち着いて考えてみるべきだ。


この指摘は、あの「透析患者の8割〜9割は自業自得だから殺せ」(何をどう読んでもそう書いてある)という暴論に対し、心ある人なら抱くであろう感想だと思いますが、残念ながら、長谷川の邪悪さは小田嶋隆氏ですら掴み切れないほどのものなんです。


【魚拓】繰り返す!日本の保険システムと年金システムは官僚から取り上げ民間に落とせ! : 長谷川豊 公式ブログ 『本気論 本音論』
長谷川豊公式ブログの魚拓ですが、この記事で長谷川はこう書いています。

■民間ならもっと「丁寧」にお金を使う


今に日本、どこかからちゃんと「ムダ」を省いていかなければいけないのです。
私は、自身の不注意から、先日、車を他の家の壁にこすってしまいました。
情けない話です。あまりにも不注意でした。すぐにそのお宅にお詫び申し上げ、全ての対処を、最速でするようにお約束しました。


さて、その時に、私の契約している保険会社の対応です。


実際に、私のこすった外壁はどのような状況だったのか?
私の完全な不注意といえるのかどうか?
壁の修繕にはどのような修繕方法が考えられるのか?
その修繕方法が確定したら、それをどの手順でしていくのか?
そして、それらはどのタイミングで完了するのか?


全てを丁寧に…私にも、被害者宅の方にもマメに説明していき、完全にお互いが納得する状態で、保険金の支払いをしてくれました。


私はそのペナルティーとして、来年から3等級引き下げられることになり、来年度以降の保険金の支払いが増額されることになりましたが、丁寧な説明を受けているので、私は当然のこととして、納得してお支払いすることになっています。



お金ってね、こうやって丁寧に運営するものなのです。



「皆さんの税金」を「予算」と表現し、「皆さんが支払ってくれたお金」を「保険料」と言ってここまで雑な扱いをする官僚に、お金なんて任せてはいけないのです。
保険や年金のシステムを、皆さんは納得して運営してもらっているのでしょうか?
ここは日本です。素晴らしい民間会社が多数存在する日本です。

原文ママ


うちのブログでは何回も書いてることですけど、長谷川豊は「健康保険も年金も解体して民間の保険会社にまかせろ」というのが真意だ、と自分で主張しているんです。
つまり、“病人に対して、誰が、どういう責任で「あんたは生きていい、あんたは死んでいい」と指差し確認をするのか”という問いに対して、長谷川は明確な答えを出しているんですよ。


「民間の保険会社が判断する」ってことです。基準はもちろん、保険の契約内容と等級、それからどんな特約が付けられているか、まぁひらたく言えば負担した保険料の多寡ですよね。


「自業自得」だとか「生活態度」だとか、いかにも風紀取締り大好きマンたちの琴線に触れそうなワードを散りばめていましたけど、何のことはない。ヤツが言いたいのは「医療を受けられるのは富裕層だけの特権にしろ」「自由診療にして、自分が理事をつとめる法人が大儲けできるようにしろ」ってことでしかないんです。


残念ながら、あれだけ燃えてる話題なのに、その辺に言及している人がなかなか出てこないんですよね。ぼくが把握してる範囲だと、このぐらいでしょうか。


ドクター苫米地ブログ − Dr. Hideto Tomabechi Official Weblog : 長谷川さんの「患者自己責任論」発言とMXバラいろダンディ降板に思うこと - ライブドアブログ ドクター苫米地ブログ − Dr. Hideto Tomabechi Official Weblog : 長谷川さんの「患者自己責任論」発言とMXバラいろダンディ降板に思うこと - ライブドアブログ

私の持論では、世の中には経済の論理に入れていいものと、入れてはいけないものがある。医療と教育は経済の論理に入れてはいけないものの代表だ。

長谷川豊はとうとう全番組降板も…背後にいた“医療自己責任論”を叫ぶ若手医者グループは逃走|LITERA/リテラ 長谷川豊はとうとう全番組降板も…背後にいた“医療自己責任論”を叫ぶ若手医者グループは逃走|LITERA/リテラ

 今、連中が目指しているのは、医師の診療報酬をとにかく高くして、医師が楽をして儲けられる社会なのだ。そのためには、貧乏人は治療を受けられず、のたれ死んでも仕方がない、という考え方が急速に広がっている。
 そして、今回は、長谷川の方に批判が集中したが、安倍政権は社会保障の基本方針に「自助自立」を据えており、弱者切り捨てのために「医療亡国論」をどんどん喧伝し、世論づくりに躍起になっている。
 このままいくと、長谷川や拝金主義の医者が言うように、社会保険が縮減され、「病気にかかったら実費で治療費を払うのが当たり前」という声がむしろ主流になる可能性もゼロではない。


ドクター苫米地とリテラかぁ……。いや文句はないけどさぁ……。もっと何か、他に誰かいないのかというか……。



なお、長谷川豊はブログにて「番組で語り、ブログにも載せた謝罪文は自分が書いたものではない」と暴露して、自分の信用をさらに低下させていてさすがにぼくも驚きましたが(これで全腎協に謝罪しても「どうせ自分で書いたんじゃないだろ」と言われるとは思わなかったのか、それとも謝罪文を送りますというのもウソなのか)、「文句あるなら直接来い」と挑発したらものの1時間で自宅(兼事務所)の住所を特定されたり、公式サイト(ブログとは別)がハッキングされてゲイポルノサイトに書き換えられたりと、正当な批判や処分とは次元の異なる、はっきりとした実害を受け始めています。どうやら、現代のインターネットでも最もタチが悪いといわれる「ハセカラ民」に目をつけられたようで、今後どんどんエスカレートするであろういやがらせが心配なところです。まさに炎上案件の最終段階であり、本人はどうでもいいけど家族いるんだし。どうせ苗字が「長谷川」だから面白がってるだけだろうけど、そういうのいらないから、本当に!